<画像は明治座の筋書より>

今、明治座で上演されている花形歌舞伎。
夜の部の演目に「鯉つかみ」があります。

愛之助さんが、主役の滝窓志賀之助など6役を
早替りで演じているようです。
本水を使ったり、宙乗りがあったりと
華やかな舞台のようです。


「鯉つかみ」の上演記録を見てみると、
40年近く上演が絶えていたのを、
2011年金比羅歌舞伎で市川染五郎さんが復活したようです。
ついで2012年に愛之助さんが上演し、
それ以降、繰り返し舞台にかかるようになっています。

「鯉つかみ」は元は、尾上菊五郎家の出し物だったそうです。
上記の浮世絵も何代目かの菊五郎が描かれているようで、
衣装の柄が菊五郎格子です。

明治期に上方で人気を博した市川右團次により、
「鯉つかみ」は繰返し上演されていたそうです。
戦後は上方の血を引く實川延若、
延若丈から教えを受けた片岡我當丈により上演されたようです。

そして愛之助さんは、伯父である片岡我當丈から
この「鯉つかみ」を伝えられたそうです。


こんなわけで「鯉つかみ」は近年までは
上演が絶えていましたので、幻の演目でした。
しかし、私は歌舞伎を見るようになる前から、
この演目を知っていたのです。

どうしてか…と記憶の底を辿っていたら、
思い出しました。
横溝正史の金田一耕助シリーズです。
それ以上は思い出せず
インターネットで検索してみたところ、
「幽霊座」という短編のようでした。

物語の舞台は古びた劇場、
「鯉つかみ」の本水が謎解きのポイントだった気がしますが…

また読んでみたいと思うのですが、
当時の文庫本はもう手元になく、
図書館、本屋を探しましたが、ありません。

ネットの本屋を覗いてみると、
金田一耕助シリーズ自体が品薄になっており、
「幽霊座」は絶版に近い状態のようです。




愛之助さんは、来月も大阪松竹座で「鯉つかみ」を演じますし、
染五郎さんが、8月にラスベガスで「鯉つかみ」を演じる
というニュースも聞いています。