国立劇場
初日の今日、観劇してきました。




「伽羅先代萩」通し狂言です。

配役


<花水橋>
廓帰りの足利頼兼を襲う悪人側の一味、しかし頼兼も扇一本で応戦。
折よくやって来た相撲取りの絹川谷蔵が加勢し、
悪人たちは退散…という場面。

下座音楽に合わせた様式的な立ち回りが楽しいです。
途中で悪者が殿様の肩を揉んだり、酒盛りしたり…


<竹の間>
この場面は初めて見ます。
若君をめぐり、女どうしの言葉の戦い。

この場があると、次の「御殿」の場面がよく分かります。
「御殿」の冒頭で政岡がお膳を持って立っている訳、
栄御前の来訪を受けて、八汐や沖の井、松島などが
すぐに登場する理由が分かりました。

女形の役者さんたちの力が拮抗しており、見ごたえがありました。

政岡:扇雀
・・・手強く演じていました。
兄、翫雀八汐との対決が見ものです。

八汐:翫雀
・・・八汐の役は立役から出ることも多く、
いかにも憎々しく演じることが多いですが、
翫雀さんは柔らかな物腰ゆえにかえって恐ろしさがありました。
鴈治郎襲名を控え、翫雀としては最後の舞台だそうです。

沖の井:孝太郎
・・・八汐を言い負かして悪事を封じ込める いいお役です。
息のつんだ台詞が素晴らしかったです。

松島:亀鶴
・・・どんな役でもこなす器用な役者さんです。
本来は立役だと思うのですが、今回は女形
しかも片はずしの役を手堅く演じていました。


<御殿>
今回は、なのか藤十郎さんの型はそうなのか、まま炊きは、なし。

千松がなぶり殺しにされている間、
立ち上がって若君を打ち掛けに隠すのがよく見る型ですが、
若君を上手屋台に入れるのは、藤十郎さんの型と聞いています。
上手屋台への階段でじっと耐える姿が、
文楽のお人形のように見えました。