10月も終盤になりました。
今月は歌舞伎座で
十七代目、十八代目中村勘三郎

追善公演が行われています。

千穐楽は25日、

今度の土曜日ですが
予定が合わず

見に行くことができません。


追善によせて、十八代目の思い出を…



十八代目中村勘三郎という人を

初めて認識したのは、
彼の父である十七代目が亡くなり、

報道陣のインタビューに

答えている姿を

テレビで目にしたときでした。

そのときはもちろんまだ
前名の勘九郎でしたが、
私はまだ歌舞伎を見たことはなく、
彼のことを何も知りませんでした。

しかし、
誰にはばかることなく
涙を流しながら
父との別れを語る姿を、
男の人でもこんなに
泣くことがあるのかという驚きと、
後は何かよく分からないけれど
惹かれる気持ちをもって
見ていました。

これが1988年4月のこと。


間もなく、同じサークルの友達に
歌舞伎座の公演に誘われました。

彼女は国文学を専攻しており、
歌舞伎や文楽、能、狂言などを
よく見に行っているようでした。
(彼女も今は勘三郎さんと
同じところに行ってしまいました。)

6月の歌舞伎座、
演目は新作の「武田信玄」、
後に十七代目追善の
「お祭り」がつきました。

初めての歌舞伎座、
「武田信玄」は團十郎さんが主演で、
勘三郎(当時、勘九郎)の
登場場面は多くありませんでしたが、
「あっ、出てきた。あの人だ。」
と分かり、うまく言えないのですが、
登場するとその場の空気が
変わるように感じました。

当時のチラシ
「武田信玄」の配役には
勘九郎の名は記されていません。
武田の家臣役でした。

その後の踊り「お祭り」は
先代の追善演目、
まだ小さい勘太郎七之助も
一緒に出演ということもあり、
場内は大向こうの声や拍手で
沸きかえるようでした。

幕見席から見おろす舞台は
小さかったけれど、
熱に浮かされたような
初歌舞伎体験でした。


これから毎月のように
歌舞伎を見るようになりました。