コラム1 設備管理で評価される要素

会社に就職するうえで必要とされる(評価される)要素は、学歴、職歴、人柄の3要素ではないでしょうか。若年者(20~35歳位)では学歴、中年(35~50歳位)では学歴と職歴、高年(50~65歳位)では職歴といった具合に学歴から職歴へと重要視される要素が変遷していきます。学歴は入社後の専門スキルを身につけるうえでの将来性、職歴は現在持っている専門スキルを知る目安となります。そして、入社後の対人関係を円滑に行えるかどうかを人柄(ヒューマンスキル)で判断します。

一般的に「営業→若年」「管理→中年~高年」です。設備管理(ビル管理)も例外ではなく中高年が多いです。そのため、学歴よりも職歴(実務経験)が重視される傾向にあります。また、中小企業の場合、社員を育てる余裕はありません。育てる能力もありません。育てる気もありません。伸びしろよりも即戦力がほしいわけです。

中小企業の設備管理の場合、人材派遣のようなこともしています。そのため、客先に紹介する場合、資格を持っていないと困ります。何も持っていないと「ただの人」です。紹介するときに、学歴は特に言いません。職歴は「設備管理歴○年」という感じで言うと思いますが、そもそも人柄は見えませんし、短期間ならごまかせるかもしれません。つまり、会社としての「格」はいかに資格を持っている人を抱えているかにかかっています。この点は人材派遣会社とほぼ同じです。

設備管理で評価される要素

◎資格
2種電気工事士
実務に直結するので持ってないと困ります。採用する側も不安になります。
危険物乙四
年に何度も試験があるので、持ってないと「何で持ってないの?」ってなります。
電験3種
持ってれば威張れます。面接でビクビクしなくて済みます。

〇職歴(設備管理の実務経験)
一般的に5年で一人前と言われています。正直長いなって思うかもしれませんが、ちゃんと理由があります。
1.季節によって管理の仕方が全然違う
営業の場合は季節によって大した違いはありませんが、空調なんかの場合、夏と冬と中間期で使う機械とその運転の仕方が変わります。つまり、一年やってようやく一通りやったことになります。
2.緊急対応が滅多にない
営業はトラブルの連続でしょうが、設備管理で何か起こるのは月に一回ぐらいでしょうか。経験としては少なすぎます。
3.意外と奥が深い
設備管理は基本一次対応、つまり、よくわからないものは専門業者に任せます。そのため、広く浅い知識が必要となりますが、本当は奥が深いです。知識不足は事故の元なので知識はないよりあったほうが当然いいわけですが、突き詰めていったら膨大な知識量になります。

△人柄(ヒューマンスキル)
技術系ですから当然くせの強い人が多いです。そもそも会社や客先も人柄には期待していません。期待しているのは現場で一緒に仕事をする同僚でしょうが、下々の声は届きません。それに、中小企業の場合は選択の余地がないです。当然面接のハードルも低いです。まともに会話ができれば問題ありません。逆に、「面接で逆転」も難しいです。ほぼ資格と経験で採否が決まります。

✖学歴
ほぼ評価はされません。しかし、高学歴者ほど資格を取れるのは事実なので、年齢が若ければ伸びしろとして評価はされると思います。
mission5 余力があれば関連する資格を取っておきましょう

設備管理では資格は必須ではありませんので、資格を集めるよりも実務経験をつむ方がいいです。特に電験三種のような高度な資格をもっていて実務経験がない場合、”頭でっかち”として敬遠される恐れもあります。危険物取扱者、2種電気工事士、電験三種以外は、実務経験をつんでから暇なときにコツコツとっていけばいいです。もちろん、資格は名刺代わりですので、あればあるほど就職も、入社後も有利になります。

2級ボイラー
以前は需要が多かった資格です。ボイラー事故もあってか、現在は扱いやすい小型の還流ボイラーが主流になってきています。現在では病院や温泉施設などで需要がありますが、減ってきてはいます。しかし、ボイラーのある施設は多いので、この資格を持っていれば、楽しくボイラーを扱えるようになることでしょう。
昔のような勢いはないもののまだまだ人気資格といってもいいでしょう。合格率も50%程度と高いです。履歴書の資格欄がさみしい人にはうってつけの資格です。
病院や温泉施設など、古い施設では必須の場合があるので持っておけば就職の選択肢は広がります。

第三種冷凍機械
以前は需要があった資格ですが、今は無名資格になってしまっています。役割はボイラーと近いです。ボイラーは温水を作りますが、冷凍機は冷水をつくります。ボイラーと同様、なくてもいいけどあった方がいい資格です。吸収式冷温水発生器(冷却塔)など多くの施設でありますので、知識はつかえます。
難易度は2級ボイラーや危険物乙4と同じぐらいです。ちゃんと勉強したら誰でもとれるレベルです。

建築物環境衛生管理技術者
通称、ビル管(びるかん)です。
ビルメンテナンスをする上で重要な資格です。立ち位置が近い資格では管理業務主任者でしょうか。管理業務主任者はマンション管理の資格で、どちらかというと法律系(民法、区分所有法)、ビル管は技術系(空調、給排水)よりの資格です。ビルかマンションかの違いで、難易度なども近いです。どちらも試験範囲が広いのが特徴です。しかし、危険物や電気工事士などと違い、ビル管理以外の利用価値があまりないこともあって、人気資格とは言いにくいです。受験資格が2年の実務経験が必要ですので受験がしづらいのも要因です。実際の仕事では大変有用な資格なので、実務経験ができたら取ればいいと思います。
難易度は1種電気工事士と同じぐらいです。実務経験が必要という点で、取得難易度は高いです。

消防設備士
危険物取扱者のおまけみたいな資格です。
ビルメンテナンスをする上で、実務に直結した資格です。一般的には乙種1類、乙種4類、乙種6類などが人気です。内容は実務に近く比較的とりやすい部類に入るのでおまけで持っておくにはいい資格です。しかし、危険物とは違い、この資格を持っていると法定講習が必須です(建前上は)。そして、種類が別れすぎていることもあって、消防設備士としては人気資格ですが、各類ごとで見ると受験者数が少ないです。そのため問題集参考書のたぐいが少なくて困ります。
難易度は危険物と同じぐらいです。試験の方式なんかも危険物と同じ団体なのでだいたい同じです。

これらの資格はおまけみたいなものと思ってください。実務経験がない場合はできるだけ早く就職をした方がいいです。


mission4 第三種電気主任技術者を取りましょう

設備管理の花形資格です。この資格を持っていると評価がぐっとあがります。しかし、必須ではなく、難易度も高いので就職して実務経験を積むことを優先した方がいいです。勉強時間があれば取りたい資格です。

第三種電気主任技術者(でんけんさんしゅ)
難易度は100です。
三種=3級、二種=2級、一種=1級ですが、他の資格と比較にならない位難しいです。
危険物、電気工事士に次いで、技術系資格人気NO.3です。択一式で4科目(理論、電力、機械、法規)合格すれば取得できます。科目合格制で、合格後2回分(翌年度及び翌々年度の試験で免除)有効です。実技試験などもなく、大変受けやすい試験です。しかし、試験範囲も広く問題の難易度も各科目の合格率20%程度と難しいです。科目の難易度は理論<法規<電力<機械といった感じです。

この資格を取れば電気工事士の資格が楽に取れます。勉強に自信のある人はこの資格を先に取るのもアリです。電気工事士の上位資格です。第二種電気工事士=二等兵、第一種電気工事士=一等兵、とすると第三種電気主任技術者=軍曹みたいな感じです。第二種電気工事士を工業高校時代に、卒業して、技術系に就職して第一種電気工事士を取る人が多いですが、電験の場合は、高専や理工系の大学出身者が多いです。電工=高卒、電験=大卒のイメージです。電験+実務経験で主任技術者として選任されたり、○○電気保安協会に就職できます。

実際の就職では、電験3種+実務経験という形が多いので、第二種電気工事士は持ってないといけません。電験3種はあるけど電工を持ってないと残念な感じになります。試験範囲が広いので、勉強時間もかかります。科目合格制なので、働きながらゆっくり取ればいい資格です。

mission3 第二種電気工事士を取りましょう

第二種電気工事士は設備管理をする上で一番重要な資格です。特に2次試験の実技は実際の仕事に直結します。今は年1回(上期、下期のうちからどちらかを選択)しか受けられない試験ですので、確実に取っておきたい資格です。危険物取扱者に次いで技術系資格人気NO2です。

電気工事士は大きく分けて第一種と第二種の2種類です。
第二種電気工事士(にでんこう)
いわゆる2級です。難易度10。コンセントとか蛍光灯の安定器を交換できます。1次試験が筆記(択一式)2次試験が実技(コンセントとかスイッチを結線してミニチュアを作ります)です。
計算部分(V=RIとか)は高校の電磁気学+αでますが、高校レベルが分かれば十分です。それ以外の分野で点をとれば合格点に達します。実技は複線図が書けなければいけません。あらかじめ出る問題が公表されているので、何度も練習してください。実技は重大欠陥があると不合格なので慎重に。

第一種電気工事士(いちでんこう)
いわゆる1級です。難易度30。機械室にあるキュービクルをいじれます。1次試験、2次試験ともに難易度がアップします。しかし、試験難易度よりも実務経験が5年という高いハードルがあります。つまり、一次試験+二次試験+実務経験でようやく取得できます。コストパフォーマンスはあまりよくない資格です。

実際の現場では必ず必要というわけではありませんが重要度は高いです。就職では第二種電気工事士を応募の必須としているところもあります。また、この資格がないと面接の印象はよくありません。持っている人に取られてしまいます。
年に1回しか受けられない資格です。2次試験の実技は経験者ほどなめてかかって落ちる傾向にありますので、慎重に取りに行きましょう。
mission2 危険物取扱者乙種第4類を取りましょう

危険物取扱者乙種第4類(通称 おつよん)
技術系資格人気No.1です。この資格を持っていると液体可燃物を扱えます。ガソリンスタンドで重視される資格ですが、設備管理にも役立ちます。自家発電設備(停電になったときに動きます)なんかは重油や軽油を使用したりします。実際に取り扱う場合の求人には、危険物丙種必須となっている場合が多いです。丙種は乙四の下位資格なので乙四でOKです。

実際の現場ではいらない場合が多いです。しかし、持っていると評価されます。年に何度もある試験で、合格率も30~40%とそれほど難しくはないので費用対効果で考えると最初に取っておきたい資格です。

甲種=1級 乙種=2級 丙種=3級 と思ってください。
乙種だけ1類から6類に分かれていますが必要なのは4類だけです。ちなみに丙種は乙種4類の下位資格です。違いは「丙種は扱える、乙種は扱えるし監視もできる」です。甲種は乙種1類から6類までを足して少しグレードアップした感じです。乙種との違いは「甲種は1類から6類までOK」です。

難易度は乙種4類を10とすると
乙種1・2・3・5・6類はそれぞれ4類と同じ10
乙種全類取得は20(科目免除があるので一つでもとれば後は楽です。)
甲種は30(すべての科目で難易度が乙種よりアップします。)
丙種は3(すべての科目で乙4より簡単です。)

甲種
すべての類を扱えますので、例えば、法令科目であれば乙四の指定数量の倍数だと液体化燃だけですが、甲種になると赤りんや黄りんの倍数もでてきます。物理化学科目だと乙四だと高校化学Ⅰレベルですが、甲種になると高校化学Ⅱの分野(化学平衡とか)もでてきます。一番難易度が上がるのが物質の性質科目です。単純に量が6倍というだけでなく、物質名がでてきたらそれが何類の物質かが分からなければ性質(消火の仕方)も分かりません。
実際の求人では化学工場など多いですが、甲種を要求する求人はほとんどありません。

丙種
乙四の下位資格です。普通は乙四をいきなりとるのですが、準備体操代わりに勉強してみてはいかがでしょうか。ただ残念なのが問題集があまりありません。簿記4級のようなポジションの資格です。一般に危険物というと乙四のことを指しますので、丙種だと恥ずかしくて言いづらいので、丙種をとったらすぐに乙四を取りましょう。
実際の求人では丙種は結構あります。そういう場合は必須だと思ってください。その場合も実際の応募に来る人は乙四を持ってきますので、乙四とってください。

乙種1・2・3・5・6類
いりません。ではなぜあるのかというと、甲種の受験資格になるからです。それ以外に存在価値は皆無です。

危険物取扱者は問題用紙、回答用紙共に全回収なので過去問は存在しませ。予想問題集をやってください。予想問題1冊+参考書1冊を繰り返せば運が悪くない限りほとんど受かります。科目別足きり方式(3科目とも60%以上で合格)ですので、運が悪ければ落ちるかもしれません。特に文系だった人は基礎物理化学科目でやられるかもしれません。年に何度もある資格ですので、落ちたらまた受ければいいです。