私が実家を出てから10年ほど経つ。

小学生のころから(時々だけど)台所に立っていた割には

料理がへたくそなことを知っている母は(料理下手は遺伝しているのである)

『大丈夫なの?』と本気で心配していたらしい。

なんたって 「ま」さんのお母様はクッキングスクールを運営するほどの料理上手であったらしい。

おいしいものを食べて育った人が

自分の娘の手料理で満足するはずがないと 

冷静に判断していた。

 

「ま」さんの心の奥底の本当のことはわからないが

とりあえず、

「毎回『おいしい』って言うから 作りがいがある。」と報告すると

母は驚愕した。

『まいかいっ!?!?』

電話で そんなことは無い筈だ、という母のココロの声を聞いた。

 

婿が娘の作った料理を「うまい!うまい!」と言うのが信じられないらしい。

『あんた、やさしい人と結婚できて良かったわねぇ。。。』と続く。

しみじみ本気だ。

 

 

娘の幸運は 母の幸福である。

娘婿の不運でないことを祈る。

 

『まぁ、仲良くやんなさいな…』と 母は嬉しげに電話を切った。

 

それが金曜日の夜である。

 

 

土曜日、私は珍しく朝の6時台に目が覚めた。

なんだか 父に冷たいことをしている気がして

それに よく考えたら 今週末「ま」さんは出張で 

私には何の予定もないのである。

暇なくせに <父の日をスルー>っていうのは 極悪ではないですかい?

ということで 母に電話をした。

 

  <つづく>