【はじめに】
紗都が消えた“その後”の世界。遥人は少しずつ、日常の中に彼女の痕跡と向き合っていた。
けれど、“失った”のではなく、“残っている”ものに目を向け始めた頃――再構築される心の風景が、静かに始まる。
コマ1:
(朝の光が差し込む部屋。カーテンがふわりと揺れている)
ナレーション:
「紗都がいなくなって、100日が過ぎた。」
コマ2:
(机の上に並ぶ写真立て。紗都と写った笑顔の遥人。埃をそっと拭う遥人の手)
遥人(心の声):
「もう…泣かなくなったな。」
コマ3:
(ベランダに出て、空を見上げる遥人。深呼吸する姿)
遥人:
「おはよう、今日もいい天気だ。」
コマ4:
(食卓。1人分の朝食を丁寧に盛り付ける遥人。どこか穏やかな表情)
ナレーション:
「1人分の生活に、ようやくリズムができてきた。」
コマ5:
(仕事帰り、コンビニ前。ふと立ち止まり、プリンを手に取る)
遥人(心の声):
「これ、紗都が好きだったな。」
コマ6:
(帰宅後、プリンを小皿に盛り付けて、写真の前に供える)
遥人:
「ただいま。今日は、これ。覚えてる?」
コマ7:
(部屋の隅に咲いた一輪の花。紗都の形見のスカーフがそっと風に揺れる)
ナレーション:
「紗都はもうここにはいないけれど…」
コマ8:
(遥人がソファに座り、静かに本を読む。そばに、微かに紗都の影が寄り添っているような描写)
ナレーション:
「“日常”は、また別の形で続いていく。」
【最後におわりに】
誰かを失ったあとも、世界は止まらない。
けれど、それを“冷たさ”ではなく“優しさ”に変えられるのが、人の強さだと思う。
この物語は、紗都のいない100回目の朝を越えて――今、“君といた日々を、抱きしめて生きる”遥人の新たな一歩。