最近、ミンティアの消費量がハンパなくなってきました。本州来てからもう三つ目です。あれは、中毒性がございますね。
そもそもミンティアを好んで食べるようになったのは大学の友人の影響です。その友人は実に一日1ケースのミンティアを消費するという大層なジャンキーで、家には大量のミンティアの空ケースが転がってたりする、そんな猛者です。
彼の食べる量もさることながら、その食べ方がすごい!胸ポケットに忍ばせてたミンティアを抜き取ったと思った次の瞬間、目にも留まらぬ速さで正確に一粒を取り出し、それをそのまま口へ放り込みます、このとき既にケースは胸ポケットに戻っています。その動きの中で、ケースやミンティアの粒が目に触れることはありません。だから、常人には、ちょっと手を動かしてポケットを探っただけのような動作に見えてしまうのです。例えカンファ中でも誰にも気づかれず食べてのける、この流れるような一連の所作は、ある意味美しくすらあります。
この美しさに憧れ、鍛錬を積むうちにおのずと僕もミンティアの消費量が増えていったというわけです。険しい道のりの中、じねん、僕はこの友人を目指すべき大いなる目標としてあがめるようになっていったのです。
しかし、世の中には、すごいヤツが一杯います。その友人こそがミンティア道を極めた唯一の人だと信じて疑わなかった僕の前に、新たな強敵があらわれたのです。その男は、片手に荷物を持ったまま、あいたもう一方の手でミンティアのケースを取り出すと、なんと、フタを開ける、粒を出す、フタを閉める、粒を口へ運ぶ、ケースをしまう、というすべての動作を片手だけでこなしたのです。目を疑いました。そのすべての動作が、実にスムーズで、華麗なのです。もちろんケースを人目に触れることなく。
僕は瞬間、息をするのも忘れ、その秘技に魅入ってしまいました。両手技に比べスピードこそ劣るものの、片手技はその実用性を加味すれば、元祖に全く劣らない妙技といえるでしょう。神速両手技の元祖、実戦片手技の男。例えるならば、風神、雷神。荒れ狂う大自然のごときミンティアの刺激を背負って仁王立つ二つの鬼神の如し!気がつけば、無条件に地にひれふす自分がおりました。
住宅街の狭間から、天を仰ぎ見る。この世に眠気があるかぎり、僕のミンティアに対する挑戦は続くでしょう。いつの日か、夏の夜の空に瞬く二つの巨星に手が届く、その時まで。
さて、明日はマッチング試験だ!