今日、RCC広島ラジオの「オタフクソースさん」のラジオCMコーナーで
2014年に投稿したエッセイを、読んでいただきました。
今もあまり文章がうまくないのですが、6年前はさらに拙くて恥ずかしかったです。
残念ながらホームページには載らないようですので
亡き父の思い出として、ここに記させて頂こうかなと思います。
『お好み焼きの功徳』
今年七十七歳になる父は、今も現役で働いている。
昔気質の職人でなかなかの頑固者である。
若い頃から小食で、晩酌のビールを二杯もあおれば、もう満腹になってしまう。
そこでご帰還となると急いで夕飯の支度をするのであるが、好物から箸を付けはじめ、嫌いな野菜の類はそっくり残してしまう。
仕方なく子供に言うように野菜の功徳をうんぬんと並べ立て、こんこんと講釈して聞かせると、ようやく一箸二箸をつけ、
「もう腹いっぱいで入らん」と逃げるように席を立ってしまう。
いつまでも元気でいてほしい私としては、誠に遺憾である。
しかしそんな父が唯一手放しで喜ぶのは、お好み焼きである。
お好み焼きなら毎日でもいいと言う。
『今夜はお好み焼きやで』と朝から申し伝えておくと、帰宅してもちゃんと小腹を空かせて待っていてくれる。千切りキャベツにすり下ろした山芋、青ネギの小口切りに、刻み紅ショウガ。ここぞとばかりに野菜をどっさり入れて作る。
玉子に豚肉、青のりにカツオ粉。
甘辛いソースに、マヨネーズ。
お好み焼きは一枚ですべての栄養素が摂れる万能食だ。
これを父は「うまい、うまい」とペロリと一枚食べてくれる。
作ったこちらも、食べた父もうれしい。
それが、うちのお好み焼きである。
さて、明日もお好み焼きにしようかな。