むかしばなし2 その9 | せつないうた のブログ

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昔話その8はこの記事


最初から読みたい方はテーマ「むかしばなし2」からどうぞ。



「むかしばなし2」にたくさんいいね、ありがとうございます。



もしかしたら、将来、あざに関する部分を書き換えるかもしれません。

伝えたいことが同じであれば、あえてあざと書く必要もないので別の表現にするかもしれません。本気で悩んでます。
できるだけ当時の雰囲気を伝えながら、当時の自分の気持ちに正直に書いていて、かつ、悪い意味では決して書いていないんだけど。。。

「嫌なことを言われる」・・・人が傷つかないような表現で書きたいなあ。。




(続いてる!)

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前回までを振り返ると

 

顔にあざがありあだ名にされている彼女。僕の幼なじみ。

僕はあざのことを全然気にしてなくて、そのことに関係する事件で逆に彼女を意識することに。

 

特に小学校の後半、偶然が続いてクラスのみんなにカップル扱いされる。

 

でも、周りで盛り上がってるみんなが思うようなことは何もなく、

親公認のボーイフレンド・ガールフレンドだったりしたけど

彼女と僕はただの友達で、二人の間には何にもなかった。ほぼ・・・

 

 

 

 

 

ある日、習字の授業、実習があった。

書き終わった後に、僕ともう一人の習字の作品を黒板に貼ってどちらが良いかを多数決で決めることになった。

校内のどこかに展示する作品をクラスで5枚くらい決めてて、最後の1枚をクラスの意見で決めるような感じだったと思う。

 

すでに彼女の作品は、クラスの代表のうちの1枚に決まっていた。

いつもながら明らかに上手だった。お手本みたいだった。

 

 

 

そして、自分の作品。

自分の字とは思えないくらい、珍しく上手に書けてた。

自分史上、一番丁寧に書いて、何度も言うけど自分の字とは思えないくらいだった(笑)

 

実際、黒板に貼られた二つの作品を見て、僕は珍しく内心「自分の方が良い」と思ってた。

 

 

 

・・・・・・

・・・・・・

以前もちらっと書いたかなあ。子供のころから僕は、あまり自分に自信がなかった。

頑張ってたつもりだったけど、

とにかく不器用で、字は下手だし、牛乳瓶を良く落として割ったり、いろいろいなことで失敗ばかりしていた。

要領が悪いとよく言われ、友達と比較しては自分のふがいなさにがっかりしていた。

なるべく目立たないようにして。

(そういえば、当時隣の家の毎日遊んでいたおさななじみの男の子は

頭もよくてかっこいいし、スポーツ万能でその上要領もよくてコミュニケーション能力も高く、

何をやっても勝てなかった。トランプ、将棋、かけっこ、本当に何でも。)

 

自分に良いところってあるのかなって思ってて

だから、比べて「自分の方が良い」と思うことはそんなになく、

きっとこの時は本当に自分の習字の方が上手だと確信してたんだと思う。

・・・・・・

・・・・・・

 

 


 

「こちらが良いと思う人!」、先にもう一人の子の作品が指さされた。

 

クラス中の手が上がった。

自分の席は後ろの方だったから、もう明らか過ぎて一目でわかる多さ。全員手を挙げているようにも見えた。

   情け容赦ない(苦笑)

 


ふーん。

あっちの方が上手なのかあ。。。

 

 

頑張ったんだけどなあ。やっぱりそうなんだなあ。

あきらめにも似た感じで二つの作品をぼうっと見つめてた。

 

 

 

 

そのあと、僕の作品を指さして「こっちが良いと思う人!」

 

 

ぼうっとしてた自分の視界の中で、手を挙げた人は前の方の一人だけだった。

 

 

ぼうっとしてると、クラス中に今まで聞いたことのない大きい歓声が・・・

ふと気づくと、、、そう、手を挙げたのはあの彼女、だけ。

彼女は一瞬、後ろを振り返り、前に向き直って手を挙げ続けていた。

 

 

真上にまっすぐ手を挙げていたのが目に焼き付いてる。

 

 

いつもの冷やかしがしばらく続き、

その後もざわざわした雰囲気が長く続いていた。

 

・・・その間、彼女は冷やかされ続けてもずっと前を向いていた。

 

僕は、、、頭の中がよくわからなくなって、一言も話せず黙っていた。

ただ彼女の後姿を見ていた・・・

 





その日、僕はとにかく彼女と話したかった。
人見知りだったし、人にどうしても話しかけたいと思って話しかけに行こうとしたのは、もしかしたらこの時が初めてだったのかもしれない。

でも、クラス中の目が僕らに向いてて、話しかける機会はなかった。

実際、みんなが授業中やら休み時間やら、放課後やら、その件でいっぱい話しかけてくるし。

そんな中で、彼女のところに行く勇気もなかった。



次の日になっても、朝からいつもの朝よりも多くヒューヒュー言われた。。。

 

でもどうしても話したくて、自分なりに周りをうかがって

午後だったような・・・やっとのことで人がいないスキをついて彼女のところに行き、声をかけた。

 

 

 

・・・最初、不思議に言葉が次から次へと出てきた。

彼女も、こちらが言い終わる前に言葉をどんどんかぶせてきた。

すると自分も同じような感じで話してしまう・・・それが自然にできてしまうのが不思議だった。

ああいう感じ・・・漫才みたいな会話の感じ?・・・は自分はあまりしないので。。。

 

僕「昨日の習字のこと・・・・・・」

彼女「えっ、習字!? ○○君残念・・・・・・」

僕「手を挙げてくれてありがと。下手な・・・・・・」

彼女「ああ、あれは本当に○○君の方が上手だと思ったのよ!だって、丁寧で、バランスが良くて・・・・・・」

僕「でもみんな手を挙げなかったし。えっ?丁寧!?って・・・・・・」

彼女「そう思ったよ。本当に。だって・・・・・・」

僕「でも一人しか・・・・・・」

彼女「私は○○君の方が上手と思ったの!!神様に誓って!!」

 

ちょっと沈黙

ここからゆっくりした会話

 

彼女「・・・・・・私って要領悪いわよね。」

僕「え?そ、そんな風には見えないけど。習字だって、ピアノだって・・・なんでも上手だし。頭良いし。」

彼女「頭良い、か。。。多分そんなことはなくて。。。私は取り柄がないと思ってるよ。」

僕「???」

彼女「みんなからは嫌なことをいっぱい言われるし。顔も悪いし。。。」

僕「ぼ、僕はそんなこと思っていないよ!」

彼女「ありがとう。」

 

彼女は横を向いた。なんか寂しげに見えた。

 

彼女「勉強だけは嫌なことを言われないし。ほかの人と同じように見てもらえるから頑張る。習い事も。」

 

 

 

彼女が僕と同じように、自分が要領が悪いとか取り柄がないとか思っていたことが当時の僕には衝撃だった。

 

その頃の僕から見てた彼女は、頭が良くて、いろんなことをそつなくこなし、何を言われても大人で、

いつも僕の少し前を歩いている追いつけそうにない、魅力的な人だった。

 

 

 

僕は、彼女の悩みを深刻には想像できていなかった。

もちろん、彼女が嫌な言葉を浴びせかけられていたのは知っていたけど、

彼女の顔のことを僕は何とも思っていなかったこともあってか、想像力が貧困だった。

 

そのうえ、彼女は僕とのことで毎日冷やかし続けられていて、、、

これは僕も同じで、それだけでも結構つらくて学校行くのが嫌になりかけたこともあったくらいキツかった。

 

 

「嫌なことを言われ」続けて、それによって僕が想像できなかったくらい大きな傷を負ってたことに気づいたのは

はるか後になってからのことだった。

さらに、「嫌なことを言われない世界」が勉強・習い事だったことに気づいたのは、自分の子供が同じ年代になってからだった。

 

 

 

 

よくわかっていないままに

この後、僕は彼女に少しでも追いつきたいと思うようになっていった。

勉強も多少するようになった。

 

でも、彼女の成績には追いつけなかった。

僕が勉強している情報が、親同士仲良いから筒抜け…

彼女は必死なんだよね。勉強で負けたら本当に何にも取り柄がなくなっちゃうから。。。(これをわかったのは最近)





(続ける)

 

 

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