「………誰にも バレない様に かな?」




     え………




「―って そんな訳 ねぇだろ  
 
 待ちくたびれて うたた寝したんだよっ」



「でっ ですよね」




     約束の時間より 

     ほんの5分くらい過ぎただけなんだけどな……







―また 沈黙




     口の中が カラカラ

    
     息をするのも 苦しいよ





「……じゃぁ 私 帰ります!!!」

 ありがとうございましたっ」




沈黙に 耐えきれなくなって

勢いよく 立ち上がった




「はっ!?
 
 お前 何 いきなり……

 って ちょっ 待てよ!!」



慌てて早口になる 先生の言葉が

その場から逃れ様とする背中に 降りかかる





     また 逃げてる 私


     もう ……自分がやだよ

     



でも 気持ちとは裏腹に

足は 止まっては くれない



振り向きもせず ドアを開き

眼に眩しい廊下に 走り出た