講堂の入り口で 

今回の報告書と

予め 記入すれば良い様に表が印刷された

A4サイズの用紙2枚を渡され

IDNO.をスキャンされる




     いつもながら 厳重だな




と 同僚と苦笑い



適当な場所で 着席する



私が座った席は ちょうど壁から出ている柱の陰になり

壇上からは 見えにくい位置だった



私は 何気なくを装い 先生の姿を探す




     ―いるわけないか やっぱり




照明が落とされ 進行役が壇上に上がった時

2、3人 バタバタと駆けこんで来て 

私が座っている後方に 腰を下ろした様だった



私は さして気にも留めず 

先生がいないことに 少なからず落胆して

黙々と 資料に目を通しながら 

レポート用紙に 要点を書き出していた



報告会が始まると すぐに睡魔が襲って来た


緊迫感のない委員の声が 遠くに聴こえている


だんだん 柱に 身体が 寄りかかっていく


だんだん 記憶を失くしていくのを 感じる