遂に 沈黙が破られる

先に破ったのは 私


 
「先生 私の家 もう過ぎてしまいました」



返事がない



     何怒ってんだか 全くわからないよ




「何処へ 行くのですか?」


「………」


「言ってくれなきゃ困ります  この後 予定もありますし」




本当は 予定なんか何も入っていない

そう言って 相手の出方を 探る



けれど それから暫くしても 

先生の言葉を聴くことはなかった






洋楽と 雨音と 煙草を吹かす息遣い



タオルを握り締める両手に 一層力が入る




     先生 何か 言って下さい

     でないと 私 訳わかんない事

     言ってしまいそうです