外川港という漁港がある。かつては釣り客が多かったそうだが、コロナ過での外出規制をいいことに全面立ち入り禁止にしたそうだ。しかも、漁師たちが随時見回りをしていると聞く。今のご時世「釣りブーム」がひと段落したとはいえ、マナーを守らない一部の釣り客のおかげで、釣りのできる場所が激減している。場所によっては他県ナンバーの車を見ると警察に通報するなんて冗談にもほどがある話もあるそうだ。

 

 一方、自分が住んでいる場所の市長さんは「釣り人大歓迎」と言っているそうで、地域での温度差を感じる。

 確かに漁港は漁師さんたちの仕事場で、生きる糧をここで得ている。漁師たちにしたら釣り人は邪魔者以外の何物でもない。現実問題ここで釣り人が落水事故を起こしたら大問題に発展する。おまけに2001.9.11の同時多発テロ以降ソーラス条約で港湾施設の立ち入り規制が強化されている。拡大解釈をしたら漁港も規制対象になるだろう。

 話を戻す。静岡県熱海市に「熱海港海釣り施設」がある。一方新潟県にはNPO法人ハッピーフィッシングが「新潟東港第二堤防」と「直江津港第三東防波堤」を海釣り施設として運営している。いずれももともと立入禁止エリアだった。しかし、それを無視して立ち入って水難事故が無くならなかったそうである。そこで「熱海港海釣り施設」は熱海市漁協。「新潟東港第二堤防」と「直江津港第三東防波堤」はNPO法人ハッピーフィッシングが中心となって運営している。当然、厳格なレギュレーションで安全管理をしているし、入場料を徴収してそれを運営資金としている。また、施設で釣った魚を持ち込んで料理してくれる店舗もあるそうだ。

 こういった形で港湾施設管理者と釣り人が共存できる環境を整備すれば、お互いがいがみ合う事も減少すると思う。当たり前だが釣り人はライフジャケットの装着やごみの持ち帰りは必須。それに判らないことは漁師に聞けばいいと思う。漁協側も入場料収入で施設改修の費用に充てられるだろうし、周辺の飲食店も魚持ち込み調理で手数料や釣れなくても地域にお金を落としてくれれば、それこそ地域活性化に結び付くだろう。発想を大きく変えることで、大きな利益が生み出されることを学ぶことも必要なのかもしれない。