もう何十年も前の話になるけれど、ドライブに出たついでに、昼下がりの日帰り温泉に。入口付近は閑散とした雰囲気。露天風呂は混浴になっています、と答える受付のヒトの声のみが響くカンジ。さてどうしたものかと思案しながら、貸しタオルを手に浴場に向かう。廊下をはさんで、右は女湯、左は混浴。混浴の脱衣場のぞくと、なんとひっそり静まり返っているではないか。コレはチャンス。広い露天風呂で、のびのびと手足を伸ばしてドライブの疲れを癒やそう、と思ってそうしてたら、若い男どもの声が。ワイワイ言い合いながら大挙して入ってくるようす。さーて困ったと思いながら、露天風呂の岩陰からゆるゆると顔を覗かせ、すみませんねえ、混浴と聞いてはいたんですが。。。と言うと、ああそうですかと男どもの声が快活に響く。そして後ろ向きのまま一直線に並んでくれた。視界の片隅には男たちのお尻ズラリ。その背後を、手ぬぐいで前を隠してダダーと走るわが姿。急いで脱衣籠のものを手にして、素っ裸のまんま向かいの女湯へと廊下を横切る。インターネットもユッベもない昭和の時代。平和だったな。男どもはバイクでツーリング中、温泉に立ち寄ったらしかった。アレが良い思い出なのか、トンでもない思い出なのか分からないけれど、得難い経験なのはたしかかも。