『キューバ危機』は、1962年
最も核戦争に近づいた大事件で
アメリカとソ連の、各々の立場から分析します。
*…*…*…*…*…*…*…*
キューバのカストロ政権からソ連に、武器支援の要請を受け
ソ連の首相は5月、キューバへの核ミサイル配備を決定。
配備されるとアメリカのほぼ全土が射程範囲内になり、大きな脅威になります。
その年の10月、密かにキューバで
ミサイル基地が建設されている様子を、アメリカの偵察機が撮影。
これに驚いたアメリカは、ソ連に激しく抗議しました。
「もしもキューバから核ミサイルが西半球に向けて発射されたら、ソ連によるアメリカへの攻撃と受け止め
ソ連に全面報復を実施する」と。
この時、核戦争への緊張が高まったが
「キューバ危機」の本の中では、米・ソ両国の思惑を分析しています。
アメリカの考え…『ソ連の首相が大きなリスクを冒してまで アメリカを怒らせる様な事をする筈がない』
と考えたケネディ大統領。
一方 ソ連の考えは…『アメリカはソ連を狙ってトルコ等にミサイルを配備しているから、キューバへの配備を認めるだろう』と考えていました。
相手が どう考えるのか
互いに自分の思い込みで判断していたのです。
勝手に自分の姿を相手に投影し、相手も自分と同じ様に世界を見ているだろうと思い込み
自らの行動が いかなる結果を引き起こすか
また相手が どう反応するかを
『読み誤った』
『自分を相手に投影して、相手を正しく判断できなくなる』
それは人の心の動きでも起こる事でした。
比較文明学の立場から、政治や社会を研究する専門家(広島大学大学院教授)は…
「人間は誰しも とても弱いものを内面に持っているんですよ。
心理学的に言いますと、無意識の中に否定的な記憶、トラウマを持っている。
(疫病・飢餓・差別・戦争 不安や恐怖など)
それを見つめる事は なかなか難しいんですよね。
どうしても、他人に投影してしまうんですよ。
本当は、相手も普通の人なんだけども
自分の心の奥底の闇を他者に投影する事によって、その人がとっても意地悪に見えたり残虐に見えたりする訳ですよね。
それは個人の心の動きでもあるんだけども
国家の間でも同じメカニズムで動きます」
▲.▲.▲.▲.▲.▲.▲.▲
人間が抱える無意識の危うさ
それは日常生活でも顔を覗かせます。
例えば中国の古典「列子」には、次のようなエピソードが紹介されています。
ある男が、斧がなくなっている事に気づきました。
いくら探しても見つかりません。
男は ふと、隣の家の息子が盗んだのではと疑い始めます。
そう思って様子を伺うと、表情や動作は いかにも怪しげです。
あいつが盗んだに違いない! 疑いは確信へと変わっていきます。
ところがその後、なくなった筈の斧が見つかりました。
ホッと安心した男。
改めて隣の息子を見てみると、その態度や表情には疑わしさなど全く感じられませんでした。
この話には次のような注釈が付けられています。
『疑心、暗鬼を生ず』
相手が何一つ悪い事をしていなくても、疑いを持って見れば相手の動きや態度など、全てが疑わしく見えてしまうというのです。
▲.▲.▲.▲.▲.▲.▲.▲
「大国と言われる国が、実は凄く弱いものを持っている。
その弱さを自覚するのではなくて
他国に振り向けてしまう。
そこに『仮想敵』という考えが生まれてしまうんです。
こちらも核で武装しなければ やられてしまうと。
この人間の心の積み重なりの中で
核兵器というものが生まれてきた訳です。
まあ、幽霊が現実化すると言ってもいいですよね」
▲.▲.▲.▲.▲.▲.▲.▲
第二次大戦後、広島 長崎の被曝の実態を知った世界的な科学者や文化人が
核廃絶を訴え、声をあげました。
この国際的な動きは
パグウォッシュ会議として現在も続けられ
11月(1~5日)には長崎で開催される予定です。
この会議の提唱者だったイギリスの哲学者
バートランド・ラッセル(1872-1970)は次の様に書いています。
『恐怖心 猜疑心 憎悪の念
もしそれが存続したら 人類は破滅してしまう』
「事実と虚構」より