長野県の伊那谷を舞台に、同地に伝わる村歌舞伎に生涯をささげた男と、彼の舞台上の伴侶である男との80年にわたるきずなを描いた人間ドラマ。


戦争に取られ満蒙に送られ、戦後、一緒にシベリアに抑留される

主人公の半次だけ、傷心の心のままに村に帰り、又、村歌舞伎を続けていくことになるのだが・・・

あとは、見てのお楽しみ。


最初、古臭い映画のようではあるのですが、その村に伝わる歌舞伎のすじだてと、実際の話が重なるようにも作られていて、最後まで見ていただくと、感動のシーンに涙いたしますよ。


年取って、ボロボロになって舞う引退公演の、みにくくも、美しい日本人の滅びの美、とか、友情ゆえの行動が、今の若者や、他国の方にどこまで伝わるのかはわかりませんが、表題の「うつくしいもの」とは、まさに、その心のありようを表しているのでしょうね。



歌舞伎役者の片岡孝太郎と片岡愛之助が熱演し、さすが、鍛え抜かれた美しい舞踊を披露する。

2人を見守る幼なじみの女性に若手実力派女優の麻生久美子がふんする。

なんと、題字は片岡仁左衛門。

また、劇中に、仁左衛門と秀太郎がチョイ役で出ているのは、サービスというか、親心であろうか。


歌舞伎を日ごろから見ているので、話もよくわかるというもの・・・

「新の口村」の美しくも、悲しい場面も何度か劇中劇で出てまいりますよ。

歌舞伎好きには、うれしい映画でもありました。


愛之助さんは、おかやま歌舞伎見る会が、売れっ子になる前から見続けてきたこともあり、我が子の晴れ舞台を見るような気になるのは、私ばかりではありますまい。

このところのご活躍は、感慨ひとしをです。



昭和という激動の時代に翻弄(ほんろう)される男たちを、日本のあちらこちらに実在した、村歌舞伎をとおして描いたこの作品は、貴重な昭和史の一部が描きだされていると思いました。





音楽は、私の中・高校の一年先輩である小六禮次郎さんでした。彼は、中学の頃から、すでにぬきんでた才能が感じられたと、同じ軽音楽部の友の弁。
伊那の出身の後藤俊夫監督が綿密な取材で、実在の人物を参考に作られたようです。