四万十川の落ちアユ漁の解禁の様子が、テレビに映し
出されていた。
朝もやの立ち込める中を、一斉に、和船に乗り込み、
アユ漁が始まるようすはまるで、水墨画でも見ている
ような、モノトーンの世界であり、静寂さの中に荘厳ささえ
感じさせるものだった。
わたしに、筆力があれば、まさに、日本画に写し取りたい
すばらしい、光景だ。。。
主人の実家は、吉井川(一級河川)の土手沿いにあり
釣りどころだった。
だったというのは、近年の、河川工事で、すっかり、様子
がさま変りして、鮎などは、あまり取れなくなってきている。
わたしが、住んでいた頃は、なん艘もの和船が川岸に
ならんでおり、その内の一艘はわがやの船だった。
釣人でもあった義父は、暇を見つけては、川に、海に、
釣りに行き食卓は、魚であふれていたものだ。
ちょうど、鮎の瀬つき場が、そこには、あったらしく、
とりわけ鮎の瀬つき(産卵)の時期は船いっぱい12キロ
ほども採れたりしていて、あとで、くばって回るのが、
とても、大変だったみたいだ。
採れたての鮎の塩焼に、タデ酢(まだ、用水でタデも採
れていて自家製)をかけて食べるのは、川魚嫌いの私を
いっぺんに、心変わりさせるおいしさだった。
また、焼いた鮎をだし代りにして作るにゅうめんは、我が
家の(というか、わたしの)自慢料理になり、たびたび、食
卓をにぎわし、もてなし料理になったものだ。
今は、主人のいとこに、釣り名人がいて、時たま、冷凍に
したアユを頂くが、採れたてのアユの味には、到底かなわず
塩焼にせず、やはり、にゅうめんにして、懐かしい味を、堪能
させていただく。。。
アユ料理は、義父の思い出とともにある。。。