「僕の目標」

 筆者は、ラグビーで怪我をしてしまい首より下、つまりほぼ全身麻痺状態に陥ってしまった。
 その後、大きな環境の変化に戸惑いながらも、辛く苦しい大きな手術を幾度となく繰り返しながら
 必死の思いでリハビリを行い、「スイスイ」とは行かないが、何とかご自身で車椅子を制御し
 ゆっくりゆっくりと動ける様にまで回復をされた。

 最終章「明日へ」の中の、「僕の目標」は、怪我をされて6年経過後の心境が記されている。
  *以下、本文より引用

 この6年間に多くのものを失ったがその代わりに大切なものを得、怪我や病気の恐ろしさを
 知る事ができた。  生きていく事の尊さ、友達の大切さを知る事ができたのは何よりも
 僕の財産になることだろう。
ラグビーの素晴らしさに気づき始めた矢先に怪我をしてしまったのはほんとうに残念だけれど
 もうラグビーと離れることはない。

 中略

 いままでは失ったものを忘れるために精一杯生きてきた。でもこれからは一歩前進し、
 得てきたものを大切にして役立たせながら生きることの尊さを実感し続けたい。

 中略

 僕の苦しみを予期してか家族は
 「いま悩んでおけば将来必ず報われるはずだ」
 「途中でギブアップしたらそれまで頑張ってきたことの意味がなくなるよ・・・・
  家族の負担なんか考えなくていいから」

 後略


 筆者は、素晴らしい家族の愛情に支えられている事を真に理解されて、前記した様に絆が強くなった
 家族内で努力を続ける事を自分自身の役割と定義されている。
 そして、怪我をした当初よりもご本人が努力され、ご家族や友人、そして周囲の総ての人々に
 支えられ、少しずつでも自立する事を目標にされている。
 特に、ご両親の加齢による体力、経済的な事を心配されている。また、その配慮として、経済的な
 自立を目標に、怪我の後、筆者を全力で支えられた家族へのプレゼントとしたい。としてこの項を
 締めている。

 この項では、筆者自身が大怪我をしながらも、ラグビーと言うスポーツを、ただ「危険」と
 定義付けるのではなく、愛すべきスポーツとしている。
 また、どの様な状況下におかれても、決して諦めない。その経験を役立たせながら「生きる」事の
 重要性を伝えている。
 怪我をしてしまった筆者が、周囲の人々、特にご家族に対する謝意を形にする為に、
 今後、自分自身は何をすべきか? と真剣に考える事。 更には、自分自身に身の丈に応じ具体的な
 目標を持つ事の大切な意味を読者に伝えている。

 少し無理があるかもしれないが・・・新制瀬戸西高校ラグビー部に当てはめてみると・・・
 
 この夏前後に多くの怪我人を出してしまった。 
 とても残念な事に、その怪我が原因で試合に出られないばかりでなく、余儀なく退部された生徒も
 いる。
 そして今現在も、自分自身の怪我と戦い、完治を目指して動かせる範囲で、トレーニングを積んでいる
 部員もいる。
 また、今は治癒できていても、自分自身の経験やチームメイトの経験を活かして、怪我人する部員が
 少なくなる様、そして、チームが機能する練習を継続させる為には、今、何をすべきなのか?
 今後はどうすべきなのか? 2年生は残りの1年を、1年生はあと2年をどの様に自分自身を磨き、
 鍛え、成果を得ていくのか?  漫然と練習に参加する事の無い様、是非、自分自身を見つめなおし、
 具体的な目標を立てて実行して欲しい。

 勿論、これらの取り組み方は、部活動に限らず、3年間の高校生活、そのほかにも趣味など何にでも
 あてはまる事なので、いくつもの目標とシュミレーションを重ね、能動的に実行して欲しい!
 と願っている。