読書は中盤になり、著者 ご本人の経過にまつわるエピソードが記載される事が多くなっている。

 しかし一貫して、彼の周囲には心温まる熱いハートを持った人達が沢山いる事。
 そしてその環境に、感謝の気持ちを素直に表現する著者。

 一日でも入院した事のある人には、ご本人の辛さが痛いほど良く解る事と思う。
 勿論、その様な経験が無くとも、容易に想像は出来るのであろうが、その時系進捗を記す事が
 著者が示したい目的ではないので、時系列の様で、実はご本人の心の動きを的確に書き示していると
 受け止められる。 
 
 ラグビーをする息子を持つ一人の父親として、彼の様な大怪我をする事を予想したり、
 または、その様な事態に陥った時の覚悟が出来ているか? と聞かれれば、答えはNOである。

 いくら周囲の方々が暖かく本人を受け入れてくれても、父親としては、「彼の身体は元に戻らない」
 などと、子供の様な発想しか出来なくなっている事であろう。
 しかし、彼は、家族の思いや期待に応えようと、精一杯の努力を試みる。
 その結果、諦めていた体の動きを手術し、少しずつ、ほんの僅かながら自意識の改革により
 取り戻そうとしている。 その努力には、いつか治るであろう怪我しかしていない自分には
 想像も出来ない落ち込みに始まり、底から立ち上がろうとする、強いハートを感じた。
 
 我々は彼から何を学ぶのか? 現時点においては、お尻に火がつかなければ動けない自分を恥じ
 何事にも前向きに、かつ、能動的に動ける心構えそして、実行力を自分自身の心と向き合い
 少しでも持ち合わせられるよう、精神的な鍛錬に活かす事。 

 しかし現在、実際に自分を取り巻く環境においても、我慢の足りなさは今一度、著者の心の動きや
 仲間と呼べる多く人々やただの同情でなく、思いやりをもって接してくれる人を持てる
 日常生活の中に人徳を有しているか?   
 
 考えさせられる事は、読み続けるほどに多くなっている。