(エッセイ)不均一な石畳を歩くとき(南欧の中世の街)
ヨーロッパの古い街並みに足を踏み入れると、どこまでも続く不揃いな石畳に出会います。
ひとつひとつ形も高さも異なる石が敷き詰められた道は、決して平坦ではありません。
ピンヒールや固い靴底で無理に姿勢を正して歩こうとすると、かえって足首を痛めてしまいます。
現地の人々は、ごく自然に肩の力を抜き、足裏全体で歪みを受け止めながら、ゆっくりと身体のバランスを逃がすように歩きます。
平坦で正しい道ばかりを整然と歩き続けることは、私たちの身体にとっても心にとっても、想像以上の緊張を強いるものです。
私たち、とくに繊細な女性の人生の道筋も、まさにこの不揃いな石畳のようなものではないでしょうか。
いつも完璧なバランスを保とうと身構えるのではなく、歪みや凹凸に身を任せて身体の力を抜いてみる。
少し頼りない足取りのまま、ゆるゆると進んでいくくらいで、きっとちょうどいいのだと思います。
「あとがき」
スペインやイタリアの中世の街並みを歩くたび、ゴツゴツとした石の感触が足裏から伝わってきます。
まるで一歩踏みしめるごとに、時間の壁を踏み抜いて過去へ遡っていくような感覚です。
この不揃いな石畳の上を、かつてこの土地で暮らした人々、訪れた旅人、行き交う商人や為政者たちも、同じように歩いていました。
雨が降り、雪が舞い、風が吹き抜ける日もあったでしょう。
祭りの夜には松明の灯りに照らされ、ある時は厳かに、ある時は賑やかに、特別な時間がこの石の上を通り過ぎていきました。
そうした中世の街をいくつも巡る中で、違和感はまったくありませんでした。
むしろ胸の奥から湧き上がるのは、深い懐かしさでした。
無意識のうちに、その不均一な石畳の佇まいと、自分自身の生き方を重ね合わせていたのかもしれません。
P.S. 小京都や小江戸の街並みも巡り歩いてみたいな〜
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