人が音楽を好きになる仕組みって?(心理学・脳科学)
「音楽の好き嫌いって、どうやって決まるんだろう?」
そんなふうに思ったことありませんか?
「その時の気分かな?」
「人によってバラバラで、ただの偶然?」
実はこれ、心理学や脳科学の研究で、決してランダムな偶然ではないことが分かっているんです!
私たちが「この曲好き!」と感じる裏側には、しっかりとしたプロセスがあります。
それは、次の3つのステップで形作られていきます。
・音のベースを作る「民族・文化」という土台
私たちが一番最初に音楽を受け入れる「土台」は、生まれ育った文化や地域です。
例えば、私たちが普段耳にする「ドレミファソラシド」の音階(平均律)は、世界共通のルールではありません。
もし別の文化圏で育ったら、初めて聴く外国の細かな音程やリズムに違和感を覚えてしまうことも。
つまり、私たちの耳や脳は、育った文化の音楽を心地よく感じるように、あらかじめチューニングされているんです。
・時代の空気や周りが作る「フィルター」
この大きな土台の上に重なるのが、「世代の流行」や「環境」というフィルターです。
みんなとつながりたい! という帰属意識から、流行のヒット曲を好きになる。
小さい頃から親が流していたジャンルが、自分にとっての「安心するおなじみの音」になる。
楽器の経験や音楽の授業を通して、音楽を楽しむ幅がぐっと広がる。
こうした日々の環境が、好みの傾向をさらに絞り込んでいきます。
・一生の好みを決定づける「思春期の体験」と「脳の仕組み」
そして、最終的に「これが私の好きな音楽!」とガッチリ固定するのが、多感な思春期の思い出と脳の仕組みです。
心理学の研究でも、「10代半ばから20代前半に聴いた音楽」が、一生の好みのベースになりやすいことが分かっています。
心が大きく揺れ動き、自分を探していた多感な時期に聴いた曲。
何度も繰り返し聴くことで、脳が「安心する音」として覚える仕組み(単純接触効果)。
これらがギュッと結びついて、私たちにとっての「人生のサウンドトラック」が完成します。
「まとめ」
音楽の好き嫌いは、決して気まぐれなんかじゃありません。
民族や文化という大きな土台があり、
時代の流行や環境というフィルターが通り、
青春時代の思い出や脳の慣れが組み合わさる。
私たちが「この曲いいな」と心動かされるとき、そこには私たちが歩んできた文化、時代、そして青春の思い出のすべてが詰まっているんですね。
みなさんは、青春時代にどんな音楽を聴いていましたか?
「あとがき」
今世紀の初頭に聴いていた音楽って思い出せますか?
私はラテン系のダンスミュージックを毎朝の起床体操として聴いていました。
目覚めの習慣で高校時代に毎朝ハードな音楽を聴いていた頃の延長なのでしょうか。
思考能力が鈍るとジャズで疲れを取るというパターンは現在も続行中。
ジャズと言えば興味深いエピソードがあって、マイルスが南欧公演の時にピアニストに指名されていた方の話。
リハーサルのとき本来のピアニストが来れなくなるハプニング。
そのときのピアノ調律師にマイルスが
「君、弾いてみて。おお、いいじゃん。」
ということで毎回の指名をもらえるようになったと。
人生は山あり谷ありだけどチャンスはどこにあるか分からない。
きっとあのピアニスト(元調律師)も前向きに努力されていたんだろうなあ。
P.S. 音響心理学を深堀りすると人体も楽器であることが納得できる。