結婚式場から逃げ出した花嫁の理由とは?(創作短編)

 



​式当日の朝、完璧に整えられた控え室から彼女は消えた。

​純白のヴェールを被ったままシャワー室へ駆け込み、重苦しい現実と誓いの重圧を流し落とすかのように温水を頭から浴びた。

濡れた髪とヴェールが肌に貼りつくのも構わず、ただ静かに目を閉じて息を整えた。

​その足で彼女は式場を抜け出し、クラシックなオープンカーの運転席へと乗り込んだ。

​ドレスの裾を押し込み、木製のステアリングを固く握りしめる。

アクセルを踏み込むと、ヴィンテージエンジンが低い音を立てて始動した。

​ヴェールが風にたなびき、午後のやわらかな光が走行する車体を包み込む。

バックミラーに映る去りゆく街並みを背に、彼女は胸いっぱいに風を吸い込んだ。

​婚約者の裏切りも親のプレッシャーも涙と共に流れ去っていった。

​行き先も、その先に待ち受ける運命も決めていない。

誰かに与えられた筋書きを抜け出し、まるでハンドルが未来へと導いているように感じて、彼女は思わず笑みをこぼした。

「あとがき」

人生って逃げ出したくなるとき、あるよね?

でもね、逃げていいとき、逃げたほうがいいときもあると思うんだ。

それを無理して我慢して耐えていたら病気になってしまうもの。

それに逃げた先に新しい何かが始まるかもしれない。

今まで見えていなかったことが見えるようになるかもしれない。

だからそういう逃走を戦略的な逃走って呼んでもいいと思うんだよね。

ところで、街行く人々のコーデは同系統か2色で統一されていてお洒落。そうでないのは外国人観光客か移民。

ということでシルバーウイーク(ゴールデンの秋バージョンなの?)だそうで、どうか楽しく安全にお楽しみください。

では、また〜


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