「古典文学」浮気な夫を正論で追い詰める手紙(前編)

​パートナーの成功や無事を「本人からの連絡」ではなく「風の噂」で知ったら、どう思いますか?

​本作の原典は、古代ローマの詩人オウィディウス(紀元前43年〜紀元17年/18年)が手掛けたラテン語の書簡体詩集「勇婦の書(Heroides)」です。

神話や伝説のヒロインたちが、去りゆく男や裏切った恋人へ向けて認めた架空の手紙を集めたフィクション作品であり、古代文学における心理描写の名作として知られています。

​その中に、まさにそんな理不尽な状況に直面した女性が登場します。

​主人公の女王ヒュプシピュレーは、「必ず帰る」と誓って冒険に出たパートナー・イアソンの帰還を信じて待っていました。

しかし、彼が無事に戻った知らせは、本人からではなく通りすがりの旅人経由で届きます。

​彼女が彼に送った手紙の一節がこちらです。

​「無事のご帰還、おめでとうございます。でも不思議ですね。なぜその吉報を、私はあなたからではなく、通りすがりの男性の口から聞かなければいけないのでしょうか?」

​感情的に責めるのではなく、「報告が他人経由である」という不自然さを突く冷静な対応。

​しかし彼女は、彼が連絡を断っていた本当の理由「旅先で別の女性を連れて帰ってきたこと」をこの後知るのです。
(後編に続く)

・​あとがき

ローマやギリシャの古典文学は人間学を深掘りできる宝庫です。

特に愛憎物語は、令和の日本でも役立つ何かが学べて実に興味深いと感じます。

時代や言葉を超えても、人間の本質は不変であるということでしょう。

追記: 古典作品を原語(ラテン語)で読むだけでも面白いですが、和訳に挑戦するのも刺激的です。無尽蔵の宝の山を掘り当てたような感じ?


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