スペイン語で名作を読む(1)「あしながおじさん」

​第1回:孤児院の影と運命の影
​沈黙と日常の破綻

毎月第一水曜日は、孤児院の子供たちにとって最も耐え難い「訪問日」です。

主人公ジュディ(ジェルーシャ)・アボットは、院長のための給仕と掃除に追われ、自らの尊厳が踏みにじられる感覚を抱いています。

​Era un miércoles infame y todo el mundo estaba de mal humor.
(忌々しい水曜日であり、誰もが不機嫌でした)

​彼女にとって孤児院は、個性を殺し、単なる「番号」として処理される閉塞的な空間でしかありませんでした。

・​予期せぬ選択

訪問日の終わり、ジュディは院長室へと呼び出されます。通常であれば叱責を意味するその呼び出しは、彼女の人生を完全に変える通達でした。

匿名の裕福な理事が、彼女の描いた諷刺的な作文に知的潜在性を見出し、大学進学の費用を全額支援することを申し出たのです。

​Un señor rico ha decidido enviar a Jerusha a la universidad.
(ある裕福な紳士が、ジェルーシャを大学へ送ることを決めました)

​支援の条件は二つだけ。「将来作家を目指すこと」、そして「月に一度、経過報告の手紙を書くこと」。

ただし、理事の正体は一切明かされず、返信も行われないという奇妙な契約でした。

・​壁に映るシルエット

院長室を出たジュディが目撃したのは、孤児院を去っていく理事の背姿でした。

車のヘッドライトに照らされたその影は、壁一面に異常なほど長く伸びていました。

​La sombra del señor era tan larga que parecía un Papá Piernas Largas.
(その紳士の影はとても長く、まるで「あしながおじさん」のようでした)

​彼女はこの顔も知らぬ保護者を「あしながおじさん」と呼ぶことを決め、自らの意志で未知の外部世界へと踏み出すことになります。

・​語彙・表現

​miércoles : 水曜日
​infame : 忌々しい、酷い
​de mal humor : 不機嫌で
​enviar : 送る、派遣する
​universidad : 大学
​sombra : 影
​largo / larga : 長い
​Papá Piernas Largas : あしながおじさん(直訳:足の長いおとうさん)
​contrato : 契約
​anonimato : 匿名性

「あとがき」

あしながおじさん(英語)は10代の終わり頃に楽しんで読んだ記憶があります。

そんな本作をスペイン語で読むとどうなの?

ということで進めてみようかなと。

スペイン語に興味がない場合でもかつて読んだ作品の思い出に浸っていただければと。


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