「恋のすれ違いが教えてくれること:(恋の入門)」
・スペイン黄金時代の隠れた名作劇「恋の入門(El amor al revés)」(カルデロン)
お互いに惹かれ合っているはずの二人が、プライドと深読みのせいで見事なまでにすれ違っていく恋愛劇です。
ハプニングではなく、自分たちの言葉のせいで泥沼にはまっていく、象徴的なセリフのやり取りをご覧ください。
・本音を隠した、痛すぎるすれ違いの応酬
男:「これは単なる恋のレッスンとしての態度だよ」
(心の声:本当は君のことが好きすぎて、まともに顔が見られないだけなのに)
女:「素晴らしいレッスンですこと。私もよく理解できましたわ」
(心の声:私のことなんて、ただのからかいの対象としか思っていないのね。絶対に本心は見せないわ)
男:「ならば、次は嫉妬の動かし方を実践してみせよう」
(心の声:これで少しは、僕の方を向いて焦ってくれるだろうか)
女:「ええ、喜んで。私も別の殿方で試してみることにします」
(心の声:私を嫉妬させて楽しみたいなら、私だってあなたを徹底的に突き放してやるわ)
「スマートでありたい」という予防線
劇中の「恋のレッスン」という言い訳は、
現代で言えば「ただの友達としてのノリだから」「今の距離感が楽だし」と予防線を張る姿そのものです。
傷つきたくない、必死だと思われたくないというプライドから、自分の本音にあえてフィルターをかけてしまう心理が描かれています。
・令和にもありがちな深読み
身分制度や物理的な障害がなくても、「LINEの返信速度」や「SNSの動向」といった新たな戦場で、私たちは日々相手の意図を深読みしています。
感情をストレートに出すことを「重い」と自制し、お互いに都合のいい言い訳を盾にするほど、本音のすぐ近くにいるのに絶対に噛み合わない完璧なすれ違いが完成していきます。
・関連フレーズ
El amor tiene razones que la razón no entiende.
Love has reasons that reason cannot understand.
恋には理性では理解できない理由がある。
「あとがき」
「好き」の一言が言えないばかりに、お互いに仕掛けた心理戦で自爆していく二人。
相手の気持ちをコントロールしようと言葉をこねくり回すほど、関係は迷子になってしまうのかもしれません。
時代やツールが変わっても、相手の心が見えずに右往左往してしまう恋愛のこじれ問題は、
人間の人生における永遠の課題のひとつなのかもしれません。
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