​絶対宇曽男尺(ぜったいうそうだんしゃく)の冒険(1)!

ファックスで往くファッショナブル月旅行

​皆さま、こんにちは。月刊「奇族の世界」編集部です。

​先日、某国の「王立ウソデミー」にて厳かなる儀式が執り行われ、

あの絶対宇曽(ぜったい・うそう)博士に「奇族」の称号が授与されました。

​現在は晴れて絶対宇曽男尺(ぜったい・うそう・だんしゃく)となられた同氏。

なんと、授与記念としてさっそく「月旅行」へ出かけられたとのこと!

​帰国(帰星?)直後の男尺(だんしゃく)に、その壮大な旅の全貌をインタビューしてきました。


​記者:「男尺(だんしゃく)、この度は奇族の称号授与、誠におめでとうございます!

記念の月旅行から戻られたばかりとお聞きしましたが、

まずは月へ向かった手段についてお聞かせください。

やはり最新鋭のロケットですか?」

​絶対宇曽男尺:「ロケット? ナンセンスじゃ。

あんな煙たいものに乗れるか。

煤(すす)で自慢の髭が汚れてしまうわい。そりゃファックス転送じゃよ。」

​記者:「ファックスですか? オフィスにある、あの書類を送る機械ですか?」

​絶対宇曽男尺:「そうじゃ。

まずはわしの身体を専用のローラーで平たく押し潰してだな、

用紙サイズに収まるようにするわけじゃ。

それを送信機に挟んで、月の受信機へガガガと送る。

感熱紙じゃから、月面に着いた瞬間は少し熱かったがの。

あ、ちなみに縮小コピーのボタンを押して送信すると、

月でのサイズが実物の半分になってしまうから設定には注意が必要じゃよ」

​記者:「身体を平たく。

そ、それでは、月面に無事到着したあとの話を。

月面は真空で呼吸ができないはずですが、宇宙服はどのようなものを?」

​絶対宇曽男尺:「そんな重苦しいものは要らん。

月面では特殊コーティングの金魚鉢をだな、頭からすっぽり被るだけで十分じゃ。」

​記者:「金魚鉢。中に水は入っているのですか?」

​絶対宇曽男尺:「バカを言うな、溺れるわ。

金魚鉢のガラスの内側に、

わしが開発した(絶対ウソデミウム溶液)を塗っておくのじゃ。

そうすると、外の過酷な宇宙空間から

おいしい空気だけを綺麗に濾過して吸い込める。

時々、目の前を幻のデメキンが横切るのが玉にキズじゃがな」

​記者:「なるほど、独自の技術ですね。

ところで、月に到着されてから、

何か生き物には遭遇しましたか?

例えば、日本の伝承にあるようなウサギなどには」

​絶対宇曽男尺:「ああ、ウサギか。

会えたとも。

ただな、あれは月に住んどるわけではない。

ありゃとうえんの親戚が飼っているペットじゃよ。」

​記者:「ありゃとうえん(有馬藤苑)の、親戚のペット!?」

​絶対宇曽男尺:「そうじゃ。預かり先に困った親戚が、

ちょっと月まで放し飼いにしに来ておっただけらしい。

餅をついているように見えたのも、

あれはただ単に、

足元にへばりついた月の泥を必死に叩き落としていただけじゃな」

​記者:「夢があるのか無いのか分かりませんね。

では最後に、これから月旅行を目指す読者に向けて、メッセージをお願いします」

​絶対宇曽男尺:「月は良いぞ。

ただ、帰りのファックスはインク代が高くつくから、

あらかじめ現地のウサギに小切手を切らせておくとスムーズじゃ。

皆、王立ウソデミーで待っておるぞ」


​終始、真剣な面持ちで語ってくださった絶対宇曽男尺。

男尺(だんしゃく)のこれからの奇妙な大冒険に、今後も目が離せません!

「あとがき」

前ブログで始めたシリーズですが、ユーモア系として、こちらで受け継ぎます。

20代でユーモアミステリー作家を夢見た時期がありました。

しかし赤川次郎さんという大御所の前では無意味とすぐに夢は失せました。

それが絶対シリーズとなって復活しているわけですが、この路線で作家は目指しません。

あれから何年も過ぎて私も成熟したためか、もっと人間の本能や心の奥深くを描く作品を書きたくなっているのです。

南欧の現実主義で人間らしい営みを見聞きして長期間を過ごした影響なのでしょう。

表面的でバブリーな生活にはほとんど興味がなくなりました。

自然と共に本能を否定せず、キラキラに走らず生きる。

そんなライフスタイルが私には合っているのかなと。

むろん人それぞれなのでキラキラして生きたい系を否定するつもりも全くないです。

それぞれに自分らしく生きればいいのですし。

ところで、最近、「グーグルの紐付け確認」というフィシングメールが届きました。

既にログインしているのに

ログインを求めるので

怪しいと思い調べたら

トラップでした。

皆さんも気を付けてください。

ということで、また〜


​#ユーモア小説 #ナンセンス文学 #月旅行 #絶対宇曽男尺 #読書