純恋小説 重いくらい好きなだけ
手を繋ぐ。
指が絡み合う。指に伝わる彼の温度は少し生ぬるい。
そのぬるさを超える程、手は熱を持っている。
それが恥ずかしくて、思わず彼の手を離した。
「雫?」
彼は驚いた顔をして、私を見る。驚くのは当然だ。嫌がるように、無理やり手を離したのだから。
彼は私の表情を見ようと、かがみこんで、目線を同じ高さにする。
「ごめん、手繋ぐの嫌だった?」
悪いことをした、というような悲しそうな表情をしている。
それと同時に私の瞳の中から、本当に嫌がっているのかを確認しようとしている強い光も見えた。
「いやじゃ…ない」
嫌じゃないけど、私は彼の手を繋げない。その手に触れただけで、私の心臓は高鳴って、胸を引き裂いてまで外に出てくるのではないかと思った。
「もしかして、まだ俺のこと好きじゃない?」
彼は答えを求めるように、私の視線を捉える。その瞳の強さに捕まったら、もう逃げられない。
逃げたくない、逃げたら彼とはもう会えない。
彼とこうして、デートをすることも出来ない。
「雫、答えてよ」
求めるように、懇願するように。彼は私の瞳を見つめる。
好きだから、一緒にいたいと思うし、誰にも渡したくないと思う。
でも、心とは裏腹に、行動することが出来ない。
彼が好きすぎて、私の想いが重すぎて、彼に嫌われてしまうのではないかという不安に駆られてしまう。
「まだ、あいつのこと好きなの?」
何も言わず、押し黙ったままの私を見て、彼の口は昔の話を紡ぎ出す。
「でも、そうだよな。俺とは比べものにならないくらい、あいつは凄い奴だったもんな。雫が忘れられないのは分かるよ」
「ちがっ!違うの!」
彼の瞳から強い光が消えて、暗い雲がたちこめているように見えた。
そんな瞳をして欲しくない。彼にはいつも、まっすぐな強さを持って欲しい。そう思うのに、私が彼を悲しくさせている。
この現実が悲しくて、変えたいと思うのに、変えることが出来ない臆病者な私。
「無理しなくていいよ。やっぱり、雫を笑顔に出来るのはあいつだけなんだし…」
彼の表情は悲しくなって、私から視線をそむけ、背中を向けた。
「今日は、帰ろう」
小さく、聞こえるか聞こえないかの大きさで、呟いた彼。
私の瞳は濡れ始めた。
違う、こんな話をするために、彼とデートしたんじゃない。
彼のことが好きだから、今日のために洋服を選んで、何度も友達にこの服でいいかと聞いて、服装チェックをお願いしたのに。
彼に可愛いと思って欲しくて、何度も化粧をし直した。
男の人に媚びない、愛されメイクのコーナーを設けた雑誌を買いあさって研究したのに…
彼に可愛く思って欲しくて、いつもと違う私だと、思って欲しくて…
それなのに彼を悲しませているのが現状。
「俺こそ、悪いよな。まだ、あいつのこと忘れられないのに、デート誘うなんて」
彼は眉をはのじに曲げて、悲しそうに笑う。こんな顔をさせたいわけじゃない。
ただ、好きすぎて、熱を持ちすぎてしまうだけなのに…
私はこれ以上、口を開けないまま、彼の後をついていった。
今日は手を繋いで、恋人らしくしようと思ったのに…
何も出来ないまま、気まずさだけを残して、今日のデートは終わった。
指が絡み合う。指に伝わる彼の温度は少し生ぬるい。
そのぬるさを超える程、手は熱を持っている。
それが恥ずかしくて、思わず彼の手を離した。
「雫?」
彼は驚いた顔をして、私を見る。驚くのは当然だ。嫌がるように、無理やり手を離したのだから。
彼は私の表情を見ようと、かがみこんで、目線を同じ高さにする。
「ごめん、手繋ぐの嫌だった?」
悪いことをした、というような悲しそうな表情をしている。
それと同時に私の瞳の中から、本当に嫌がっているのかを確認しようとしている強い光も見えた。
「いやじゃ…ない」
嫌じゃないけど、私は彼の手を繋げない。その手に触れただけで、私の心臓は高鳴って、胸を引き裂いてまで外に出てくるのではないかと思った。
「もしかして、まだ俺のこと好きじゃない?」
彼は答えを求めるように、私の視線を捉える。その瞳の強さに捕まったら、もう逃げられない。
逃げたくない、逃げたら彼とはもう会えない。
彼とこうして、デートをすることも出来ない。
「雫、答えてよ」
求めるように、懇願するように。彼は私の瞳を見つめる。
好きだから、一緒にいたいと思うし、誰にも渡したくないと思う。
でも、心とは裏腹に、行動することが出来ない。
彼が好きすぎて、私の想いが重すぎて、彼に嫌われてしまうのではないかという不安に駆られてしまう。
「まだ、あいつのこと好きなの?」
何も言わず、押し黙ったままの私を見て、彼の口は昔の話を紡ぎ出す。
「でも、そうだよな。俺とは比べものにならないくらい、あいつは凄い奴だったもんな。雫が忘れられないのは分かるよ」
「ちがっ!違うの!」
彼の瞳から強い光が消えて、暗い雲がたちこめているように見えた。
そんな瞳をして欲しくない。彼にはいつも、まっすぐな強さを持って欲しい。そう思うのに、私が彼を悲しくさせている。
この現実が悲しくて、変えたいと思うのに、変えることが出来ない臆病者な私。
「無理しなくていいよ。やっぱり、雫を笑顔に出来るのはあいつだけなんだし…」
彼の表情は悲しくなって、私から視線をそむけ、背中を向けた。
「今日は、帰ろう」
小さく、聞こえるか聞こえないかの大きさで、呟いた彼。
私の瞳は濡れ始めた。
違う、こんな話をするために、彼とデートしたんじゃない。
彼のことが好きだから、今日のために洋服を選んで、何度も友達にこの服でいいかと聞いて、服装チェックをお願いしたのに。
彼に可愛いと思って欲しくて、何度も化粧をし直した。
男の人に媚びない、愛されメイクのコーナーを設けた雑誌を買いあさって研究したのに…
彼に可愛く思って欲しくて、いつもと違う私だと、思って欲しくて…
それなのに彼を悲しませているのが現状。
「俺こそ、悪いよな。まだ、あいつのこと忘れられないのに、デート誘うなんて」
彼は眉をはのじに曲げて、悲しそうに笑う。こんな顔をさせたいわけじゃない。
ただ、好きすぎて、熱を持ちすぎてしまうだけなのに…
私はこれ以上、口を開けないまま、彼の後をついていった。
今日は手を繋いで、恋人らしくしようと思ったのに…
何も出来ないまま、気まずさだけを残して、今日のデートは終わった。