ビジネスマンの不死身力:あなたの一言で職場は変わる~[竹内義晴,ITmedia]2010年03月13日 08時30分 更新~





私もほとんど同感で、
こんな感じの文章を書きたかったが、
専門家の文章を拝借した方が楽なんで(笑)。



でも、ビジネスの最前線にいたりすると、
ついつい忘れちゃうのよね~

こういうこと。



働きやすい職場「仲間のやる気」



 あなたの周りに、やる気がないように見える人はいないだろうか。

 仕事に対する高い目標を持っていても、やる気のない人が周りにいると、仕事がうまくかみ合わなくなる。「みんな、もっとやる気を出そうよ」と言ってみても、冷たい視線を浴びるだけ。次第に自分のやる気も収縮し、働くことが嫌になってくる……。こんな経験のある方も少なくないはずだ。

 楽しく仕事ができる「働きやすい職場」には、自分だけでなく仲間のやる気も大切だ。今回は「褒める」をテーマに、仲間のやる気を引き出すための考え方をお伝えしよう。



目標を持てばやる気が出るのか?


 やる気とは一体何だろうか?

 「夢や目標があればやる気が出る。だから、大きな夢や目標を持とう」――。最近、こんな言葉をよく耳にする。だが実際は、ちょっとした目標を掲げてみても、それを達成するためのやる気はなかなか出てこないものだ。

 個人的には、「目標」と「やる気」の関連性に疑問を抱いている。誤解を恐れずに言うと、わたし自身は、目標を持ったからといってやる気が出るタイプではない。

 例えば、以前勤めていた企業には、目標の達成度合いを評価する「目標管理制度」があった。年度始めに「資格を取る」といった目標を決め、定期的にチェックを受ける。自分で掲げた目標であり、達成すれば評価もされるが、目標を達成しようという気持ちよりも「やらされ感」が優先し、この制度がそれほど自分のやる気と結び付かなかった。

 会社以外でもそうだった。「キャリアアップに向けて資格を取ろう」と目標を立てた時のことだ。資格の勉強をしていると少しはやる気になったが、資格を取得したことに安心すると、やる気を継続させるのは難しかった。やる気を出すためには、また次の目標を探さなければならない。

 こうした経験から、「目標を持てばやる気が出るとは限らない」「やる気は『出そう』と思って出るものではない」という教訓を得た。同じ経験がある方も意外と多いのではないか。



やる気は「出す」ものではなく「出る」もの


 かつては典型的な「やる気のない駄目な人」だったわたしだが、今はやる気がみなぎり、明確な目標を持っている。「人そのもの」に視点を向け、「会話のチカラ」でわくわくした職場を増やすことは、実現したい夢の1つだ。

 目標や夢を抱けるようになったのは、皆さまからの温かい言葉があったからだ。顧客やクライアントからいただく「うまくいきました、ありがとう」という謝辞、メールマガジンやブログの読者から寄せられる「どうすればいいのか分かった」という気付き、本連載を通じて届く「なるほどと思った」という共感 ――。こうした言葉がうれしく、時に励みになり、自然とやる気や目標が生まれてきた。

 大切なのは、意識してやる気を出そうとしたのではなく、自分の内側からやる気が出てきたということだ。やる気や目標は、皆さまからの温かい言葉によって引き出されたのである。

 「うれしければやる気になる」。やる気とは、実はとてもシンプルなものだ。



ちょっとした褒め言葉を大切に


 やる気は出すものではなく出るものである。これが分かれば、仲間のやる気の引き出し方も見えてくる。鍵になるのは「ちょっとした褒め言葉」だ。

 自分に照らし合わせて考えてみよう。「お前、もっとやる気を出せよ」と言われるよりも、「ありがとう。○○さんはスキルがありますね」と言われる方がうれしいし、やる気も出てくる。だが、普段の会話で飛び交っているのは、「やる気を出せ」という直接的な言葉だ。頭の中で「やる気を出そう」と意識しても、やる気はなかなか出てこないものである。

 仲間にやる気を出してほしいなら、仲間の内側からやる気が出てくるように言葉を掛けてみよう。つまり、ちょっとしたいい点を見つけて褒めるのである。褒めるのが恥ずかしければ、「以前よりも良くなったな」と評価を伝えるのもいい(スキルが不足気味の仲間に改善を伝えたい場合は、前回の記事『職場を変える「会話のチカラ」』を参照)。

 「時には叱ることも必要だ」という意見もある。もちろん褒めることですべては解決しないし、時には厳しく叱ることも必要だ。だが、相手のやる気は「出すものではなく出てくるもの」と理解していれば、一方的な叱責以外のやり方があることにも気付くはずだ。



職場を変えるのは、あなたの一言


 「職場に褒めてくれる人がいない」とため息をつきたくなる気持ちも分かる。わたしはかつて、エンジニアの仕事で、肉体的、精神的に疲れ果てた経験がある。仕事のやる気が出ず、「働く環境を変えてほしい」とリーダーに懇願するほどだった。「ツライ職場」で働くのは、本当に大変なことだ。

 「どうせ働くならもっと楽しく仕事がしたい」。こんな気持ちが芽生えたのは、チームのまとめ方が分からず、理解のない職場で働きたくないという消極的な気持ちが発端だった。

 会話の工夫を始めたのは、それからだ。仲間のちょっとしたいい点を褒め、前向きな言葉に言い換えて伝えた。少しの工夫を続けることで、仲間は明るい雰囲気になり、「ありがとう」と言い合える職場が生まれていった。その言葉で自分の気持ちも満たされ、仕事のやる気につながっていったのだ。

 「褒める」という行為は、仲間のやる気を引き出し、「ツライ職場」を変えていく。そのきっかけを作るのは、あなたの一言なのだ。