ゴルフの日本ツアーでの最終戦。日本シリーズ。




石川遼選手の賞金王が掛かっていたので仕方ない、とは言え、
試合の行方より、
メディアで流れるのは、石川選手と池田選手のスコアばかり。



こういう現象は日本だけなのか、
世界共通なのか…







そんな影響もあって、
実は優勝したのは丸山茂樹選手であったにも拘わらず、
その報道は小さいものであった。





丸山茂樹選手は、10年ぶりの日本ツアーでの優勝。




アメリカツアーで3勝を挙げ、
青木功選手を凌ぐ「世界の丸山」になった彼も、
ここ数年は苦闘の日々。





アメリカツアーの開催コースの距離はどんどん長くなり、
丸山選手の飛距離では勝負にならない。



そこで「飛距離にこだわり過ぎた」(本人談)ため、
スイング全体のバランスを崩してしまった。




そうするうち、
身体も痛め、首痛から小指まで痺れ、クラブすらまともに握れない事も。



最後は、
ドライバーを打つ「恐怖」に襲われ、その払拭は容易では無かったようだ。





そんな中での、10年ぶりの優勝。





石川選手や池田選手が素晴らしいのは認めるが、
丸山選手にも、もっとメディアが注目していい。





というのは、
一度「恐怖」を味わった人間が、
そこから克服し、這い上がるのは、
並大抵の事ではないからである。





丸山選手も、
「もう二度と勝てないのではないか」
と、心が恐怖に支配されていたそうだ。





一般の方は、

「そんなもの…根性が足らん!」


と言う方もいるだろうが、
厳しい勝負の世界に何年も身を置いて、
その上での感じる「恐怖」は、
相当に根が深く、簡単な話ではない。






基本的にスポーツはメンタルで支配される面が多いが、
ゴルフなど、一見動きが少ないように見えるスポーツは、
メンタルが占める割合がかなり大きい。




(恐らく、スキージャンプも同じはず)






自信に満ちている時のゴルフと、不安や恐怖がある時のゴルフでは、
まるで別人のようにプレーが変わる。






最近よく登場する、昌鳳和尚(元アサヒゴルフ編集長)が、
以前に絶好調時のジャンボ尾崎を自宅に訪ねた時のこと。







室内に姿が無かったので、
庭の練習場に行ってみると、
真っ暗な庭の片隅のベンチに、ドライバーを抱えてボーっと座っていたそうだ。



どうしたのか、と尋ねると、







「……練習すればするほど、課題が増える。…」



と、うなるような声でつぶやいた。




続けて、





「…おれ、クラブ抱えてないと、夜眠れないんだ…」



と、つぶやいたそうだ。






若い時は若いなりに、
それなりに悩みはあるだろうが、
経験を積んだ上、あるレベルの成功を経験した後の「恐怖」は、
全くレベルが違う。






恐らく丸山選手も同様の経験をしたはずで、
全ては報じられてはいないものの、
私のようなトレーナーには、大体の想像は出来る。








恐怖を感じていないとすれば、
そのアスリートは、まだまだのレベル。





そこを、どう乗り越えるか?…が、
本当の真価が問われる。






「自信と恐怖は、常に隣り合わせ」



と、
丸山選手を長年指導してきたプロコーチ、
内藤雄士氏は言っている。







アスリートの諸君。





真の「恐怖」を感じた事がありますか?





感じていないとすれば、
それはまだ「発展途上」である証拠。





逆に今、感じているとしても、
悲観的になることもない。






その、ほんの一ミリ隣りに、
「自信」が隠れているのだから。







恐怖を感じている、この瞬間を、
恐れてはいけない。







耐えろ!!


忍べ!!