海外へ遠征中の選手から連絡が入った。




今年も北欧は雪が遅く、
クロスカントリーのコースは辛うじて一部確保出来ているものの、
ジャンプ台には雪が無い所も多く、
練習の為にはジプシーの如く、雪を求めて渡り歩かなければならず、非効率な練習を強いられる。






まもなくジャンプも、ノルディックコンバインド(複合)もW杯が開幕。
クロカンやフリースタイルスキーも。





そんな中、選手に改めてアドバイスしたことがある。






直前のこの時期に来ると、
最も重要なのは「体調管理」。




怪我や、風邪をひくこと。
ましてや今年は新たなインフルエンザが猛威を奮うらしい。





一旦、風邪をひくと、
たとえ表面上の症状は治まっても、
身体の機能が完全に回復するのには約1ヶ月掛かる。




予防には、何と言っても昔ながらのうがいと手洗いである。










それと、もう一つは、
「感情のコントロール」である。







随分以前に、
精神力には「構造」があると書いた。




熱力…いわゆる「根性」。熱い心。

鋭力…インスピレーション。勘。感覚。

静力…冷静な心。客観視。




精神力とは、何も根性だけではなく、
これら3要素が約33%づつ、備わっている状態が、「精神力が充実している」と言える。








ただ、集約すると、
最後にパフォーマンスを決定づけるのは「感情」である…


ということも以前に書いた。






怒り、恐れ、慢心、不安、…







基本的には、
「ここで負けたらどうなる」とか、逆に「勝ったらこうなる」とか、
結果を先に考えるとロクな事がない。






例えば、野球。






迷ったら、キャッチャーの構えたミットに向かって投げる事だけに「集中する」。




ボーリングで言えば、「スパットボーリング」。



レーンに付いた黒い三角錐のマークの上を通すことだけに「集中する」やり方である。










だが、一見するとメリットが大きそうだが、
逆に言うと「視野が狭く、周りが見えていない」と云うことにもなる。







特に、チームプレーではマイナスになる場合もある。








また、最後は「個人の資質の問題」にも拠る。







よって、競技の質、
あるいは場合によってはポジション、
に拠って、その対象者(選手)に何に重きを置いてアドバイスすべきかは異なるのである。





その全てのベースになるのが、
「精神力の構造」。








理屈は全てが約33%に、均一に充実している状態が理想的であるわけだが、

あくまでも感覚的な問題。


完璧に数値化出来ない。







だから指導者は、
目の前の選手が、今はどの要素を強く意識させてやるべきか、
あるいはそれを強く意識させるような言葉を吐くか…










こういう側面も、指導者には求められる。









それが、まさしく「名コーチ」なのである。