野口みずき選手の件。





欠場は本人が一番、心を痛めているはずで、
マスコミは例によって勝手な事を書き立てているが、
彼女本人の精神面が心配である…




信頼出来る人が、傍に寄り添っていられれば良いが…








私自身も、選手の強化ミニキャンプを今日終えたばかりだが、
この問題は他人事ではない。




ある一定時期、
パフォーマンスを上げる為にフィジカルを強化しようと思ったら、
身体には限界に限りなく近い負荷や負担を掛けなければならない。




もちろん、身体の微妙な変化や不具合の前兆は見逃さないよう、
細心の注意は払っているが、それとて絶対的な完全は有り得ない。




まして、マラソンランナーと言えば、
不要なものは極限まで削ぎ落とし、
必要な筋肉も最小限、
身体を守ってくれるべきものまで、必要最小限のものしか許されない。


言ってみれば、
フルマラソンを走り切るだけの耐久性と、
必要な最小限の機能を備えた最新のマラソンシューズのような身体に仕上げなければならないのだ。






私も今数人、日本代表に入るべく選手の強化に当たっているが、
鬼のように極限まで追い込む一方、
クドいぐらいに身体の変調については逐一確認する。
過保護に見えるほど。



怪しい点があれば、多少運動量を落とすか、
負荷量は変えずに、水などの抵抗に変更したりしてパフォーマンスは落とさないようにはしている。
それでも、鍛えるべき時に鍛え、妥協出来ないのも現実。


カミソリの刃のような、
すれすれのせめぎ合いである。






だが、それだけ気を付けていても、怪我が発生することもある。


この辺りは、
「もっと出来ることはあったんじゃないか?」
「あの時にこうすべきだったか?」
などと、指導者側は己を責めることになる。






無論、怪我が仕方ない、と言っているわけでは無いのだが…





マラソンは過酷な競技である。


過酷であるが故に、
トレーニングもまたギリギリのところまで攻めなければならない。



マスコミは
「前兆を見抜けなかった監督、コーチの責任」
とか
「身体の異常を言い出せないほど追い込まれていたのでは」
とか、誰の責任?的な話のオンパレードだが、
理屈で分かってるような事は言ってても、
本質はほとんど分かっちゃーいない。






とにかく大切なのは、
今は野口みずきさんを一人にしないことだ。