米カリフォルニア大学などの研究によると、
チンパンジーに二足歩行と四足歩行の二通りで歩かせてみた結果、
エネルギー消費が人間の四倍に上ることが明らかになったそうだ。



実験したチンパンジーは6~33歳の五頭。
歩行距離1mで体重1kgあたりの酸素消費量(エネルギー消費量)は、
二足歩行が平均0.21ml、
四足歩行が平均0.19ml。
同じ装置で二足歩行であるいた人間四人の平均値は0.05mlだった。


一頭だけ二足の方が四足より得意で酸素消費量が少ないチンパンジーがいて、
歩き方を分析した結果、姿勢が他の四頭と違っていた。


研究チームは、
「動きのわずかな差でエネルギー消費的に有利にも不利にもなる。
広く食べ物を探し回るのに有利なように、
人類は進化の過程のごく初期に省エネ歩行術を身につけたのだろう。」
と結論づけている。




この結果からは、別のことも類推できる。


着目すべきは、チンパンジーの中にも二足歩行の方が得意な者がいる、という点である。


二足と四足では、一番違うのは「重心の位置」である。
あるいは、それに応じた歩き方の得手不得手、である。



四足の方が得意な人間はさすがにいないだろうが、
重心が前寄りか後ろ寄りかぐらいの差は存在する。
その違いによって、パフォーマンス向上のためのトレーニング方法は違っていてしかるべきだ。


つまり、二足が得意なチンパンジーに、
わざわざ四足を訓練させる必要なないのかも知れない。
生物学的なことを除けば。



効率よく、最大のパフォーマンスを発揮させることが最良であるならば、
このことは様々なことを示唆している。