最近、自宅の付近に立て続けに理容店や美容院が出来、
まさに駅周辺は乱立している。



私の住んでいるところは、東京通勤圏一時間ほどの郊外。
便利な割にはのどかな場所である。
それでも美容院などは、まるで表参道や青山にあるようなおしゃれな店。
これが街に適合しているかどうかは分からないが…



で、理容店は、最近はやりの「1000円理容店」。
駅周辺にほぼ隣に2軒あり、最近もう一軒出来た。
熾烈な戦争、といった様相。



今日は夕方に時間が出来たので、
新しく出来た店に入ってみることにした。
以前は、漠然と安いところは信用できない感じを持っていたが、
一度入ってみると、髪形に特別なこだわりが無い限りは、
「これで十分じゃん」といえる出来栄えだったので、
それからは1000円店で済ましている。



通常の1000円店は、特別スタッフの感じが良くもなく悪くもなく、と、
まあ特にそんなことも期待しているわけではないので、気にもしていない。
だが今日入った店は、くど過ぎずおべんちゃらでもなく適度に会話を試み、
他の店とは違った対応のようだった。
期待をしていない分、結構心地よさを覚えたのであった。



普段はそういう場所で会話をしない私も、いろいろ話を聞いてみた。
聞くとその店はFC(フランチャイズ)で最近店舗展開をしているかしい。
オーナーが、おそらく誰でもが知っている1000円理容店の先駆けのチェーン会社に元所属していたそうで、
(名前は伏せておきましょう)
何人かの仲間を引き連れて独立したそうだ。





どこの業界も、同じような現象があるんですなぁ…






聞いてみると、比較的、接客の感じが良い理由が分かった。



そもそも、その大型チェーンから離れたのが、
「マニュアル化された接客システム」に馴染めなかった、ということらしい。
確かに通常の1000円店は、効率よくガーっと切って、バキュームで髪を吸い、
10分程度で仕上げて、余計な話は極力しない、というスタイルがほとんどである。
しかし、それではお客様のさまざまな髪の悩みを聞いてあげたり、
本当の要望が汲み取れない、と。
それで自分たちの納得いく、尚且つ安価な設定でサービスを提供しようと、
有志で独立したらしいのである。



確かに私も、何となく釣られて、
最近特に量的に寂しくなってきた、髪の相談などをしたりしてしまった。
不覚にも。



さらに聞くと、私を担当してくれたスタッフは、
どうも組織の幹部のようで、新規店を立ち上げた時などに軌道に乗るまでフォローしたり、運営指導をしたりする教育的立場の人のようだった。



どうりで、接客サービスが自然だったわけだ…
と納得。



前述のとおり、髭剃りなどを希望せず、洗髪も不要で、
髪型に特別なこだわりが無ければこういう店で十分で、
もしかしたら、その基本的なカッティングの技術だけだったら、どの店でも大差は無いのかも知れない。
そうなってくると、安心感やちょっとした髪の悩みを相談出来る存在の方が、
同じ金額なら有り難い、と思える。



この店が出来るまで行っていた同様の1000円店があるのだが、
そこは決して感じが悪い、ということでも無いが、
何となくあまり細かい注文を出しにくそうな雰囲気が漂っている。
もちろん私はほとんど坊主頭なので細かいこだわりは無いが、
それでも微妙な長さや丸みなど、少しは気にしている事がある。
たいして面倒なことでも無いレベルで。


だが、ほとんどカットが終わりかけて、「もうちょっとこうして欲しいな」と思っても、
それを言い出しづらい雰囲気を醸し出す店や、スタッフはいたりするものだ。
気の弱い、私のようなお客さんならなおさら。



私は仕事でさまざまな顔を持っているが、そのほとんどはサービス業である。
そのうちのひとつ、フィットネスクラブなどももちろんその範疇に入る。
最近では置いてあるトレーニング器具に大きな差は無く、
運動プログラムにも大差はなく、といった感じで、
スタッフもハイレベルな専門知識を持っているよりも、
「感じが悪い」接客さえしなければ、大きな問題は無い。
よって、大抵のクラブは「感じが悪い」ことは少なく、ほぼ快適に使える。




だが、先ほどの新しく出来た1000円店のように、
「あとちょっと」とか、「一工夫」とか、
「何だか分からないけど、あの人がいると安心」とか、そういう部分。
もちろん、「一部の人にだけ受ける」ではなく。
全員は難しいにせよ、幅広い層に受け入れられる雰囲気。
だが、この部分は結構、自己評価が高くなるもので。

(自分は多くの人に受け入れられている、という勘違い。妄想。)

いずれにしろ、やはり最後は「人」の部分になるのであろう。


(大きな組織の場合、ボリューム勝負になるのでそんなことも関係なくなるが…)




それは必ずしも専門知識とは限らず、
「感じが良い」の、ほんのもうちょっと「上」。
トレーナーしかり、施術者、治療家、しかり。




この理髪店も、そういうことを理念としては目指しているらしかった。


それで最後に私が、


「ほんとにそういう事が大切ですよね。でも肝心なのは、確かにあなたの接客サービスは配慮に富んでいたと感じますが、同じような人材をどれだけ作れるか、ですよね~」

と言った。


さすがにそのスタッフも、黙ってしまいましたが。
(やべ、余計なこと言っちゃった~)


いわゆる“エース”が店にいる間は良いが、
その人は新規店のたびにまた次に異動するのだろうから、ほかのスタッフがその思いを継承できるかどうか?
が勝負の分かれ目である。



大手が強くなるのは、採用などをある程度の数を採れるため、
要は「分母が増えれば分子が増える」。
数多くの中には、それだけ優れた人材が含まれている確立が高い、ということだ。
それをエースに仕立てて、配置すれば「生きた手本」が存在することになる。



それでも、この新興1000円理容店、ぜひ頑張って欲しいなぁ~