亀田興毅選手の疑惑の判定に関するバッシングが止まらないようだ。


八百長疑惑だの何だのから、亀田選手の素行や言動に対する批判まで飛び火し、
一体、そもそも何を論じてるんだか分からない始末。
ま、それだけ亀田選手が影響力のあるアスリートに育った、という証明になった、
と言えばそれまでだが。


大切なことは様々あろうが、
判定に疑惑があったとしても、少なくともライトフライ級一位の選手と闘い、
19歳の少年が互角以上に渡り合ったのは事実。
それはそれで凄い事実である。
裏で何かが行われたとしても、それで彼が「弱い」という事にはならない。
彼がどこまで知っていたかは別だが、
何かあったとしても周囲の大人の問題であろう。


私は彼が好きでも嫌いでもなく、
擁護する気持ちもまったく持ち合わせていないが、
周辺環境を除去し、まずは事実のみを冷静に認識することが大事だと考える。
そうでないと、大切なことを見誤る。


同時に、今回の疑惑の判定に関しては、
そもそもボクシング興行の特異な仕組みに問題があるようだ。


聞いたところによると、
ジャッジ(審判員)は全員アマチュアだそうで、
これもボクシングの特異な仕組みだが、一番の権力者はWBAでもWBCでもなく、
まずは「興行主」なのだそうだ。
ジャッジには交通費や宿泊代は連盟や協会から支給されるが、
基本的にはアマチュアなので、「無給」なのだそうだ。
つまり、その他経費などは興行主から支給されるらしく、
構造的には興行主に雇われているのに近いそうだ。
そうなると、興行主から「何か」を頼まれたり指示されたら……


断れるのか…?


つまりは「プロスポーツ」の体を為していない、と言わざるを得ない。


そういう実態を改善していく動きにしないと、
問題は何ら解決しない。


実は過去にも同様の問題があり、
鬼塚勝也選手も数回、疑惑の判定があり、
今回の対戦相手、ランバエダ選手は過去にも新井田選手とも対戦し、
やはり微妙な疑惑の判定で敗れている。
今回、亀田選手のように、社会現象にまでなっている選手だったからこそ、大きな問題になっているに過ぎない。


要は、マスメディアも、
目立つ所にだけ騒いでいるに過ぎない。
ある意味、同じ穴のムジナと言うべきだろう。


また、この問題に乗じて
亀田興毅選手の言動に対する批判も起きている。
「疑惑の判定で勝ったくせに、相変わらずのデカイ態度」が気に入らない、ということだろう。


問題なのは、彼は何も犯罪行為を犯していない、ということ。
彼があのような横柄な態度をとるのは、
彼(親父さんかも?)が何らかの戦略を持っているのかも知れない。

良いか悪いかは別にして。

ロックスターがいつでもサングラスを外さないことや、
江頭2:50さんや猫ひろしさん、古くはたこ八郎さんなどが、
どんな場面においても、あの強烈なキャラクターを崩さないのと同じことだろう。


要は、意図があって作為的にキャラクターを構築しているとするならば、
それを簡単には崩せないのは当たり前のことだ。
逆に言うと、この状況化でそこを貫き通す、
彼(亀田一家&協栄ジム)の根性と信念に頭が下がる。


何度も言うが、好き嫌いは別にして、
状況を論理的に、冷静に判断した場合の見解である。


だが、なぜ彼がそのように意図的にキャラクターを作り上げようとしているかは分からない。
ボクシング界の盛り上げの為か、ただの目立ちたがりか。
それとももっと大きく、日本のプロスポーツの活性化を見据えているのか。


ただ、私が興味深いのは、
世間の子供たちが彼に憧れてボクサーを目指した時、
同じように「タメ口」で応答することを奨励するのかどうか?
自分に対して「タメ口」をきいた時に容認するのかどうか?
そこで「目上には敬語で話さんかい!」と諌めたら、これこそ筋違いである。


彼が真のアスリートになるとしたら、
世間に対する影響度、ましてや子供たちに対する影響は無視できない。
本人は意図するかどうかは別にして、強くなる、ビッグになる、トップに立つ、
というのは、同時に責任も必然的に伴うという事である。


本人がいくら否定しても、そこは逃げられない。


さて、亀田選手がどこまで意図しているのか。


強くなる、強さを目指す、名声を勝ち取る、ということは、
自分に降りかかるであろう責任まで覚悟する、ということなのである。


そうでないと、彼もマスメディアに、世間に、潰される。


たとえ試合に勝ったとしても。


最後にもう一度。


私は亀田選手は好きでも嫌いでもありません。


いつでも、事実を、冷静に客観的に判断したいだけであります。