既に発表されているニュースによると、
日本マクドナルドがFC(フランチャイズ)オーナー制度の改正に着手したらしい。
私も知らなかったが、
マクドナルドの全3800店余りのうち、七割が直営店、三割がFC店だそうだ。
今後はこのFCの比率を上げる戦略をとるらしく、
その為に多くの店舗(10店以上)を運営出来る優良オーナーだけに直営店舗も割り振って行き、
今後の新規募集オーナーも、同等の力量(財務力も含めてだろう)を有していることが条件のようだ。
ニュースには細かく書いていなかったが、
これは要するに、利益を出せない実力不足のオーナーには退席願って、
利益を出せるオーナーに多く店を持ってもらって、会社としての利益を確保したい、ということと、
結局は直営店で成績が上がらないものだから、
FCにすることでリスクを軽減する、ということだろう。
FCならば自動的にロイヤリティーが入るわけで、
もちろん直営ならば大成功すれば大きな利益をもたらすが、同時にリスクも抱え込む。
確かに営業成績の状況を見ると、
直営店は悲惨な実態のようだ。
2005年度12月期で利益が6000万円だったらしいが、
(こんなに少なかったのか…)
FC店からの収益90億円がなければ、大幅な赤字だったようだ。
この状態を見れば、このような方針もやむなし、
といったところだと思われるが、
多くのエコノミストも言っているように、ちょっと順序が違うのでは?と、素人でも思う
そもそもFC展開をするということは、
そこに“売り”になる「ノウハウ」が存在し、その商品管理や営業施策などのノウハウをオーナーが買うということで成立するわけで、
直営店の状況が悲惨で、優良オーナーに任せて儲けてもらおう、というのは、
理屈から言えば、「当社には売れるFCノウハウはありません」と白旗を挙げたようなもの。
(流通。配送システムなどは強力なノウハウはあるのだろうが)
つまり、直営店の改革こそが本丸であるべきで、
背に腹は変えられないのだろうが、本末転倒のドタバタ施策と言わざるを得ない。
第一、理屈で考えても、
いくら優良オーナーと言えども、立地の悪い、誰がやっても利益の出ないような店を無理やり割り振られてもイヤだろうし、
そうは簡単に行きそうもないのは、素人目にも明らか。
だがこの手法を取らざるを得ないという状況が、現在の日本マクドナルドの困窮と迷走ぶりを表している。
私はこの分野は素人なので、あまり突っ込むのは避けることにするが、
恐らくコンビニなども、直営店とオーナー店の間で似たような状況はあるのではないだろうか。
今でも新しいFCの募集などが雑誌などで紹介されているが、
果たしてそのうち、どの程度が「強いノウハウ」を持っているのだろうか。
TVドキュメントなどで、FCに手を出したのは良いが、会社から気の利いたサポートも受けられず悲惨な廃業に追い込まれた例をよく目にするが…
私が関連の深いフィットネスクラブ業界は、
まだ明確にFCのスタイルをとっているところは少ないが、
外資系を中心にちらほら参入が始まっている。
アメリカからの参入会社「カーブス」
などは、その最右翼だろう。
(「㈱ベンチャーリンク」 が100%出資)
内容の良し悪しはともかく、私が以前から言っている「場の提供業」とフィットネスクラブを割り切れば、
こういう形態もアリだと思う。
その他にはゴールドジム なども、最近はFCを積極的に展開し、
ここ数年店舗数を増やしている。
こちらはどちらかというと運営ノウハウというよりも、ブランドイメージ先行型と言えよう。
完全に「ボディビルダー(的)」か、「格闘技」という強みを明確にイメージ化している。
「ゴールドジムと言えば…~」というイメージは完全に出来上がっている。
中途半端になんでも手を出し、何が何だか分からなくなるんだったら、
これはこれで明確である。
さて話は戻るが、フィットネスクラブに於いてはFCではなく直営店でも、
社員が会社の命令でどこかの店舗のマネージャーを任され着任したものの、
立地や賃料、その他の状況があまりにも悪すぎて結果がなかなか出せず、
しかし結果が出なければ会社的には「任せたマネージャーの責任」ということになり、出世街道から外れて…
という話もよく耳にする。
結局は、常に「会社の論理」「強者の都合」が再優先される、ということか。
われわれ多くの庶民はとにかく正しい情報を取得し、
最終的には自分の感覚で「これって、おかしい?」と感じられる“嗅覚”だけは持ち合わせていたいものである。