今日は結局、患者さんも入って、
夕方からはミーティングも入って、結局は仕事になっちゃった…


ミーティングは、アドバイザーを務めるフィットネスクラブの責任者とのモノ。
その中で、ブレーンストーミング的に思いつくままいろんな話をした。


少々、語弊があるかも知れないが、
私はフィットネスクラブのトレーニングジムでの仕事の必要とされる能力重要度について、
実はいわゆる「専門知識」については優先順位が低い、と考えている。
極論に聞こえるが、本当にそう感じているのだ。


では何が最重要かと言えば、
恐らくこの世界に従事している人であれば想像がつくであろう。

「接客技術」いわば「コミュニケーション術」である。


ここまで聞くと「当たり前だろ」とお叱りを受けるかも知れないが、
大事なのはその「中身」である。
言い換えると「意識」「意図」とした方が適切か。


接客マナー、と言うと、すぐに浮かぶのが「挨拶」「笑顔」である。
これは誰でも知っていることであるが、最も大切なことは、その「ゴール」をどこに置くかの意識であると考えられる。


たとえばコンビニなどであれば、
「いらっしゃいませ、こんにちは~」という、あの超無機質な挨拶で大きな問題はない。
何故かと言えば、お客様が求めているのは「商品」であり、有形のものだからだ。
フィットネスクラブにおける商品は、望む結果を提供するという「無形」のものであり、
またその「結果」という商品を提供するには絶対的に「時間」が必要になる。
急に痩せるわけもないし、一日で筋肉が付くモノでもない。
つまり「モチベーションを維持させる」というプロセスが重要であり、その為にスタッフが存在し、存在感を与えたり、「コミュニケーション」が必要になる。
そうなると、自ずとコンビニの接客とは質が異なるものであることは異論はなかろう。


実際にクラブで働いているトレーナーの方々は
「そんなこと分かってる。コンビニみたいな接客なんかしてない!」
と怒るかも知れないが、では次の質問はどうだろう?



ジム内にお客様が30人いるとして、

「遠くからでも互いに目を合わせて挨拶できる人は何人?」
「臆せず声を掛けられる人は何人?」
「自分に笑顔を返してくれる人は何人?」


…さて。どうでしょう???


驚くほど少ないことに気付くのではないか。


ただの「こんにちは~」になってはいないだろうか?



こういう話になると、まず出てくるのは
「お客様の名前を知っているか」
という話題だが、
私はそれは前述のことに比べれば重要度は低いと考えている。
もちろんフロントとの連携や、入会時のオリエンテーションの管理などで可能ではあるが、
大切なことは名前を覚えることではなく、
「あのクラブに行けば、誰かと繋がれる」と思っていただくことであり、その過程で名前を把握すれば良い。
もちろん名前を覚えるのは必要なことだが、特に何千人も会員がいるクラブでは、そこにエネルギーを注力するのは優先順位が違う。
まずは「お客様に興味を持つ」こと。
もっと言えば「人間に興味を持つ」こと。
そうすれば名前は自然に覚えられるものだ。



最も重要なことは、ジムに立っているスタッフが
どういう「つもり(意識)」で立っているかなのだ。
無論、最重要なのは「安全確保」。次に「使い方などが分からず困っていそうな方のフォロー」。
だが、全国のフィットネスクラブのトレーナーの大部分は、次の段階として
①「顔見知りに声を掛ける」
②「何となく話し掛けやすそうな人に声を掛ける」
になっていて、前述の意識の段階にあるトレーナーは少ない。
恐らくほとんどは、①②のお客様がいないと「休んで」いるのである。無意識に。


特に最近のフィットネスクラブは、ジムのトレーナーが簡易型のレッスンプログラムを担当することが多くなり、
アルバイトのスタッフも多くの研修を受け、「インストラクターの先生」になれる。
自分の担当レッスンに気が向き、力を使い、ジムに立っている時は「意識が休憩」になっている事が非常に多いのである。
レッスンに参加しているお客様より、圧倒的にジムにいるお客様が多い場合でも…


この理由は簡単。
レッスンは「気持ちが良い」から。


自分の号令や指示で、何人ものお客様が動くのである。
ましてや人前に立ち、その瞬間はいわば舞台俳優のようなもの。
自分では意識していないが、例え参加人数は少なくても、快感に酔いしれてしまうのである。



こんなことばかり書くとイヤミのようだが、
私はジムでのトレーナー業務の重要性と、その面白さを知って欲しいと思っているのである。
お客様は驚くほどスタッフをよく見ているし、いろんなことを教えてくれる存在なのだ。
これほどの人生勉強は他にはなかなか無い。


人的サービスの提供をおこなう仕事で最も大切なことは、
「自分を徹底的に客観視する」ということだ。
逆説的に言うと、「一時的、完全自己否定」である。
簡単に自己肯定してしまうと、成長はない。


そこから自分の棚卸しをする。


自分の本当の心はどうなのか?
どういう意識で接客現場に立っているのか?
そこでは何を為すべきなのか?

などなど…


私もこの業界に関連する仕事をおよそ四半世紀やってきているので、
ジムスタッフを見ていればその人の「意識の在り方」が手に取るように分かる。
経験的には、100人いたらその中で、このような意識が見える人は一人いるかいないか、である。
だが考え方を少し変えるだけで、この仲間入りが出来るのである。



私が第一段階としていつも勧めるのは、「お客様との視線合わせ」である。


冗談のようだが、たとえばお客様の背中から、
「こっち向け~こっち向け~!」と念を送って、実際に振り向かせることから始めても良い。
それで実際に目が合えば「ニッコリ」スマイル+会釈、である。


あるいはお客様の視線の先に自分から入っていき、
また目が合えば「ニッコリ」スマイル。


ここで臆してはサービス業は務まらないのだ。
相手に「はぁ?」みたいな顔をしても気にしない。
視線を外されてもくじけない。多くの場合はお客様は照れているだけ。
本当に嫌がっている人は、確率的にはごくわずか、と考えないと良い仕事は出来ない。



そして次の段階は、これを目指す。

あらためて再記。

「遠くからでも互いに目を合わせて挨拶できる人は何人?」
「臆せず声を掛けられる人は何人?」
「自分に笑顔を返してくれる人は何人?」


もちろんフィットネスクラブである以上、「指導」をするのだが、
究極的にはスタッフ全員で、すべてのお客様をこのようにカバー出来れば、そこは素晴らしいクラブである。
指導と同様、ある意味それ以上に大切な「意識」であると思う。



……と、まあ、こんな研修などをしたりするのも、
私の仕事でもあるんです。ハイ。