ずいぶん前の日経新聞に「ニッポンの力・サラリーマンだって職人」というテーマのコラムが出ていた。 blogの記事にしようと記録しておいたが、やっと日の目をみる。
まずは内容を、若干簡略化・修正して紹介。
吉野屋の加藤氏(33)。有楽町店店長。
約千人の社員の中の一サラリーマンである。
彼は牛丼盛り付けの速さでは三指に入る。
しかし折からのBSE問題で牛丼から方針転換を迫られ、豚丼に活路を求めたが、それだけでは他社との競争には対抗出来ず、結果的には定食を導入せざるを得なくなった。
厨房のオペレーションもさることながら、丼提供ならば20~30秒が定食になると3分以上にもなってしまう。
これは効率が即コストにはねかえるファストフード産業においては死活問題。
加藤氏はそれをストップウォッチ片手に様々な工夫を凝らし時間を短縮し、やがて一分にまで縮めることに成功した。
まず彼はインダストリアルエンジニアリング(生産工学)に目をつけ、炊飯器や給茶機など備品の位置を何度も研究し、その結果もっとも効率的な人の動きを為しうる形態を開発し、結果を出した。
効率が向上した吉野屋は、前期の赤字から連結営業黒字に転換したのであった。
別の例として紹介されていたのは、ヨドバシカメラ全19店のオーディオ売り場を一人で切り盛りする、店舗企画担当の遠水清氏(51)。
カリスマ社長である藤沢昭和氏が、人任せにする唯一の売り場を担当する。
彼は決して昇進は早いとは言えないが、まさに「職人サラリーマン」。
オーディオ売り場で扱うのは、30年以上前のプレーヤーで使えるレコード針、1メートルで1万円以上する高級ケーブル。 100種類近いスピーカーなど、マニアでなければ分からない商品ばかり。
その筋のどのような質問や要望にも即座に応えられる商品知識を持ち、全てに的確に対応出来る能力の持ち主だそうだ。
全国のマニアに知れ渡り、皆が遠水氏目当てに来店するそうだ。
これほどの能力の持ち主ならば、米国ならば高額の年収でヘッドハンティングされるだろう、と言われている。
私も会社員生活を10年あまりやった経験があり、その後も当時の部下などと親交がある。
そのほとんどが高いモチベーションを維持し、組織の中で重要な役割を担っているが、中にはただ「給料が安い」「やりたい仕事が出来ない」「残業が多い」など、ネガティブな事しか考えていない輩も多い。
どのような組織・集団でも「2:6:2」に分かれる、という説もある。
つまり、2割は組織を牽引する人材、6割は益にも害にもならない人材、
そして2割はむしろ存在することで“害”になるような人材。
ミツバチの世界でも、そのほとんどは働きバチだが、それでもやはりこの理屈が当てはまるらしい。
つまり、全員が全員「働きバチ」でもないらしいのだ。
面白いのは、ではその中でも精鋭の2割を抜粋して集団を形成しても、やはりその中で同様に「2:6:2」に変化していくそうだ。
自慢ではないが、私は組織の中にいるときでも、自分の目標(トレーナーとして一本立ちする)を見据えて、会社には黙ってシコシコ準備していたが、
無論、会社に対しても他者では出来ない貢献をしてきたつもりである。
つまり、一見怠惰に思えるサラリーマンの仕事でも、そこで十分に人と違った仕事は出来るし、己の力を磨く場はあるはず。
そこで力を蓄えれば、その能力を外部で「売る」ことも出来る可能性は広がるはずなのだ。
(実際に“売って”、転職するか否かは本人の自由)
つまり、前述のように、サラリーマンにも「プロフェッショナル」は存在するし、自分がそのようになれる可能性は、実は平等に与えられている。
日本の労働力人口は1997年のピーク時から272万人減少し、現在では5400万人、とのことだ。
この数値の捉え方はいろいろあろうが、その中での自分のこれからの行動次第では、プロフェッショナルサラリーマンとして、現在所属する会社のみならず、同業種の世界でその能力を必要とされる人材になれる可能性がある。
つまり可も無く不可も無い6割から、トップランナーの2割に行けるかどうかは自分次第、ということ。
労働人口が減少ということは、トップランナーの2割の中からも減少するということで、
「二部リーグ」から「一部リーグ」へ上がれるチャンス、とも捉えられる。
単純に、給料の額や、幻想的な“やりがい”のみで転職を繰り返すのも一つかも知れないが、
その前に自分の「棚おろし」と、自分の「在庫処理」「商品開発」を考えてみても良いかも知れない。
私は組織の限界を感じて自分の道に走ったが、
コラムにあるような、組織の中で自分の能力を駆使し、外部からも能力を認められるような活躍を見せている人をみると、拍手を送りたくなるし、大いに敬意を表したい。
さ、さ、文句ばかり言っているあなた。まずは動きましょうよ。