すっかり間が開いてしまった、「パートナーストレッチの基本」シリーズ。


2ヶ月間、8回コースでのワークショップも今日で終了した。
何はともあれ、受講生の皆さんお疲れ様でした。
仕事や家事の合間をやりくりしての参加はいろいろ大変だったと思います。
ですが、このコースでおこなった内容はまだほんの「入り口」。
時間の都合で網羅できなかった細かいテクニックもあるし、
何しろ人の身体を扱うには「手馴れ」が必要です。
微妙な角度なども、思考錯誤して自分で見つけていくしかありません。
ぜひ学んだ技術を錆びさせることなく、実践の中で精進してください。





さて、以前にパートナーストレッチ指導の“基本”について、


①筋の「起始」と「停止」を離すことがストレッチ、と心得る。
②相手の手足を出来るだけ自分の身体の“近く”に把持する。(相手に近づく)
③相手に力を掛ける際、自分の“体”でおこなう。(手だけでやらない)
④相手の手足を持つ際、出来るだけ“2点支持”でおこなう。
⑤以上も含め、常に「いかに楽をして出来るか?」を考える。

と書いた。



すでに

①筋の「起始」と「停止」を離すのがストレッチである。

②相手の手足を出来るだけ自分の身体の“近く”に把持する。



については解説しているので、続いて、

まずは
③相手に力を掛ける際、自分の“身体”でおこなう。

についての解説。


この留意点の理由は、まずは手だけで力を加えていくと、自分が非常に疲れてしまうということ。
うまくクライアントがつかめると、一日に何人もの人をストレッチしなければならない。
それを手だけでやっていたのでは、自分の身がもたないのである。
(実際、10人ぐらいやってみれば分かります)


それと、最大の理由が「再現性の問題」。


手だけで扱おうとすると、力の加減や方向が一定せず、ぶれやすくなるのである。
もちろん大きな力も掛けることができない。

これは、②の「自分の近くに把持する」にも通ずるのだが、
言いかえると、自分の身体の“中心近く”で扱うのである。


料理人の包丁さばきや、ラーメン職人の湯切りも、
手だけでやっているように見えて、実は身体の中心近くで身体全体を使ってやっている。
そうすることによって的確に効率良く力を加え、且つ再現性をもって仕事がおこなえるのだ。


話がやや飛躍するが、画家もそうだし音楽家も同様。
手だけで用具を扱う人間に一流は存在しない。
もっと言うと、「自分の身体の中心軸を明確に認識できている」。
われわれトレーナーの仕事で言えば、テーピングを巻く時も同様だ。


ちょっと話が難しくなったが、何事も手先だけでやらないことが肝要である。





次に④の「相手の手足を持つ際、出来るだけ“二点支持”でおこなう」について。


ストレッチの技術に注意が行きがちで、人の身体に対する配慮が欠けてしまうことがよくあるが、
例えば相手の足を持ち上げる場合、片手で持ち上げた時と足部と膝辺りの二点を支持して持ち上げた時、
明らかに持ち上げられる側の感覚としては“安心感”がまったく違う。
特にストレッチを受ける場合は完全脱力が基本なので、
不安感を持たれてしまっては脱力することが出来ず、結果的にストレッチ効果も半減してしまうことにもなる。


あくまでもサービス業である、という観点からも、
お客様であるクライアントに出来るだけリラックスをしてもらうことを重視すべきであろう。




そして最後の⑤「いかに“楽”をして出来るか?を考える」という点。

“楽をする”、というのと“手を抜く”というのは明らかに異なる。
自分が楽に出来る、ということは、無駄な動きや力が入っていないということである。
楽に出来ていれば自分に余裕が生まれ、様々な箇所に気を配ることもできる。
また、自分が楽に出来ていれば、同時に相手もリラックスができるものなのだ。


以上、いろいろ述べてきたが、
結局はすべての身体動作、もちろんスポーツ動作にも通ずるものばかりだ。
つまりは「真理は常に共通している」ということが言えるだろう。