昨日のパーソナルトレーナー向けのワークショップは
「レジスタンストレーニングプログラムのツボ」といったテーマで行ったが、最後の質問が非常に的を得た内容であったので、それに関連して。

「トレーニングで“ビッグ3が大切”と言われるが、本当のところはその理由が分かりません。それほど筋骨隆々になろうとは思わない方も多いのが実情ですので。その必要性を伝える理由が聞かせていただきたいのですが。」

というもの。
この質問をされた方は経験のある方なので、
自分なりの答は持っているが、違った見解を聞いてみたいといった意図のようだった。


一応、念のために解説すると、
ビッグ3とはスクワット・デッドリフト・ベンチプレスの大きな筋群の主要3種目のことを指す。これらはバーベルなどを用いるが、場合によっては代用としてトレーニングマシンを使うこともあるので、これらに近い動きをする種目も広い意味では含む、と考えることもある。



さて、私の見解。

確かに一部の人を除いては、皆がムキムキの体を望んでいるわけではない。
だが、やはり“ビッグ3”は出来ればおこなうべき、と私は考える。
(前述の通り、近い種目でもよい。出来ればバーベルなどの方がより良いが。)



人間がもっとも守らなければならない姿勢・動きは「立位」である。
以前に「人体観・健康観」カテゴリで書いた記憶があるが、
人は立位であることで適切な荷重がかかり、立位のあとに成り立つ歩行によって体内液体成分の還流が起こり、
生命維持活動が立位をベースになされるのである。
高齢者の方が骨折などにより長い間寝たきりを強いられると、
脳活動の減退や内臓諸器官の疾病までも発症することが多いのも、そのためだ。



ビッグ3によって鍛えられる筋は、背中や腰、大腿、殿部などであり、
どれも「善く立つ」のに必要不可欠なものばかり。
つまり、これらは立位を守り、生命維持のためにある程度の強さを保つべきものなのである。



また、「ベンチプレスは胸のトレーニングだが、それが立位の維持と何の関連があるのか」
と思う方もあろうが、これは下肢の筋群と併せて、「危機回避」に重要である、と考えられる。
下肢や背中側の筋は例えばバランスを崩した場合などに、転倒したりしないように身体を保つのに必要不可欠であるし、
胸などは、例えば前方に転んだ時、顔などにダメージを受けない為に咄嗟に出るのは“手”であり、
それを支えて身体を守るのは、まさしくベンチプレスで使われる筋と同じなのである。



専門的に言うと、身体から何かを遠ざける為の筋は「伸筋」と呼び、
自らに降り懸かる災難を回避するのには、非常に重要な役割を果たす筋なのである。



“ビッグ3”のトレーニングを、ただたくましくなるためだけのものだと考えるのは余りにも短絡的。
実は生命を守る為にも、とても大切であり、必要な機能なのだと理解すべきと考える次第である。


ただ、若い人にはピンと来ないかも。
自分の身内にそのような人がいたりしないと。



いや、実は街を見渡せば、そのことを感じる場面に幾らでも遭遇する。
要はそういうことに「目を背けないこと」と、
自らの身近な問題として捉らえようとする「イマジネーション」の問題と言えよう。