近年、あまり高校野球をみる事が少なくなったが、
今年は例年に比べると、少し見る時間が増えた。
理由は、昨年の大会で北海道代表の駒大苫小牧が優勝し、
私がチーム雪印の指導で札幌に滞在していた際、地元の熱狂ぶりを見ていたからだ。
チームの選手も、食事の時などは決まって野球の話題に。
それで今年は連覇がかかるということで、ちょっと意識を持っていた、というわけだ。



最近は投手の球速も表示されるようになったらしいが、
140kmを超えるスピードも珍しくなくなったようだ。
これもトレーニング方法が充実してきたことによる効果だろう。
打撃も非常にパワフルであった。
だが特に投手に限って言うと、私のような専門家の立場から見ると、
決して効率良く身体を使った投げ方とは言えず、
力任せの感が強い投手が多い。
それが理由で、制球力のある投手が少なかった。


大地からの力をうまく身体に伝えられず、上半身に頼った投げ方をすると、
スピードはそれなりに出せるが、「再現性」に問題が出てくる。
つまり「同じ動きが出来にくい」のである。

結果的には面白い試合が増えたのだが、
後半に追いつかれ、もつれた試合が多かったのも、その辺りにも原因はあるようだ。



上肢には関節が「肩・肘・手首」とあり、
それらは基本的に、最もナチュラルに曲がる方向がそれぞれ異なる。
ゆえに上半身に頼りすぎた動きは、同じ動きがしにくくなり、
コントロールが定まらなくなる傾向になる。
要は、上肢にいかに余計な動きをさせないかがポイントになるのだ。
ちなみにボールとは、最終的には「肘」(正確には“肘頭”)の向いた方向にしか行かず、
それを下半身で誘導出来れば、結果的に「球離れが遅くなる」という表現になる。


「パワーアップトレーニング」はもちろん重要だが、
それによって力任せになる功罪も見逃せない。
肝心なのは、「体内をいかに効率良く、力を伝達させるか」
なのである。
それがまた、上肢の故障を防ぐことにもつながる。


そういう意味では、印象に残ったのは宇部商の投手。
(名前、忘れてしまいました)
繊細なコントロールと投球術は、非常に見事で見ごたえがあった。