<世界陸上>為末が48秒10で銅メダル 男子400m障害 - livedoor スポーツ
為末選手、とにもかくにも、おめでとうございます!!!
それにしても、400mという短い距離での競技にも、
これほど細かい戦術があることに驚嘆。
◇悪条件を味方につけ、巧みな戦術で快走
強い雨をものともせず、7レーンの為末はスタートから猛然と加速。内側のレーンの強豪を引っ張るように伸びやかに飛ばし、高速の展開に持ち込んだ。「多くの選手が、あれにつられてリズムを崩したはず。勝負師としてはまりましたね」。勢いに乗って、体力が切れたラストも粘った。準決勝を6番目で通過した伏兵が悪条件を味方につけ、巧みな戦術でライバルをけ散らした。
2日前の準決勝の後、どんな状況なら勝てるかを想像した。思い描いたのは「雨が降り、スタート時間が遅れて、若い選手が動揺する光景」。その中で、他の選手を乱す走法を思い浮かべた。
奇しくも決勝の夜、嵐のような豪雨が襲った。競技は2時間中断し、決勝は25分遅れた。招集(点呼)を待つ間、予選で上位だった19歳のクレメントや20歳のファンジルらは、落ち着きなく体を動かして体力を消耗。その横で、為末はじっくりと構えた。「こういう混乱した時は下手に動くなと、経験的に知っていたので」
スタートはサンチェスのフライングでやり直し。他の選手は雨で冷えるのを嫌がり、不安そうな顔をしていたという。「こういう時ほど最初の一撃が効く。ラッキーと思っているのはおれだけ」。すべてが想像通りに運んでいた。再びの号砲が鳴ると、春先の米国高地合宿などで地道に蓄えてきた走力を思い切りぶつけた。そして最後は、「あの角度が一番速くフィニッシュできると考えていた」という、捨て身の転倒で締めくくった。
速い選手が勝つとも限らず、勝った選手が「強い選手」。
まさにベテランの味、と言うべきか。
全てが彼なりの計算がドンピシャではまり、これこそ会心のレース。
神が彼に舞い降りたか。
いや、それでもここに今季最高記録を持ってこられる、
努力と研究の積み重ねと考えるべきだろう。
この4年間、いろいろな苦労があったと思うが、報われて良かった。