夕方のニュースを移動途中で停車中の車内で見ていたら、
「高校生の最新教育プログラム」を紹介していた。



以前にも何かのニュースソースで見た事があったが、
実際に小さい会社を作って、学生同士で組織を作り、
出資者も募って、ビジネスを行い利益を生み出す過程を体験させる、というものであった。
もちろん、会社ごっこではなく、実際設立をするのである。



このシステムに賛同した大手企業の経営者も、
実際に「100円」づつ出資していた。
そうそうたる顔ぶれ。
日本の将来を憂いて、新たなベンチャー経営者が生まれる事を期待しての賛同だろう。



この仕組みは欧米ではポピュラーで、
導入している学校の数が把握できないほど、多くの導入実績があるそうだ。
日本では、今のところわずか6校。



ニュースを詳しく全て見る事は出来なかったが、
見ている限りでは、かなり素晴らしいプログラムに見えた。
「たかが100円、所詮遊びだろ」と思うなかれ。
私も会社員を辞めて、小さいながらも法人を作ってみて分かった事だが、
規模の大小は別にして、いかに「金」を回して赤字を出さないようにし、
曲りなりにも一人で「食って行く」ことが大変な事であるか…



ましてや、この高校生の取り組みは、
ニュースの例では「キャンドル」を製作して、それを販売する会社を作っていたが、
当然、同じ高校生が「社員」となり、出資してもらった「資本金」を元手に、
社員を「総務・人事・製造・営業」に分けて、実際に「利益」を出す事を目指し、
株主に配当まで出す、という徹底した「現実の会社」である。



番組では、一人の女子高校生が社長になり、企画・立案をしていくのだが、
当然、中には思い通りに動かない社員もいたり、
「残業拒否」(放課後の活動を渋る者)もいたり、
キャンドル製作に使用予定だった理科実験室が「使用禁止」になったり、
実際の会社でも起こりそうな難問のオンパレードなのだ。
その中で、社長を始め社員が力を合わせ、
ある部分では「己を殺して」、皆の利益の為に邁進する姿は、感銘さえ受けた。
これは本当に意味のある「教育」と言えるのではないだろうか。
(もちろん、まだまだ欧米に比べれば未成熟な面もあるのだろうが)





それにしても、つくづく時代の流れを感じる。


例えば、私の高校時代に同じようなプログラムがあったとしても、
恐らく「面倒くせぇ」とか言って、全く興味も示さなかっただろう。
そういう意味では、昨今は堀江社長を始め、様々なベンチャー企業や経営者が誕生し、
それを今の高校生達は見ている訳で、
意識として、頭の中にしっかり「考え方」は根付いているのだろう。
「若い人」でも、素晴らしい人はやはり素晴らしい。
社長を務めていた女子生徒も、最後はきちっと株主総会も開き、
経営の大御所達を前に、しっかりプレゼンをしていた。
これはなかなか出来るものではない。



果たして、今の若い会社員に同じような事をやらせたら、
どの程度出来るのだろうか? と考えてしまった。





それに関連して、私が会社員時代晩年に読んで、かなり共感した本がある。 



 21世紀究極の組織「一人会社制」

―あなたと会社の繁栄を約束する 「あなたがいなくなったら会社は何が困りますか?」

という本である。




要は、会社を構成する一人一人の社員がそれぞれ実際、「会社」を作り、
その「会社」と所属企業が「契約」を結ぶ、という仕組みと、
そのメリットを紹介した本である。



これを読んで「夢物語」と笑うのは簡単だが、
実はそのような企業が最も強いのではないだろうか?
つまり、全てが「自己責任」。
契約先である会社に利益をもたらさなければ、最悪は契約打ち切り。
つまり「クビ」である。
そうならない為に、契約先に利益をもたらす為に懸命に「成果」を目指す。
逆に自分は独立した「会社」であるため、外部の会社と業務契約をする事も当然構わない。
契約とは、あくまでも「対等」の関係が基本である。
良い意味での「緊張関係」が築け保てる、というわけだ。



私はこの話を何人かの人(経営的立場の人など)にした事があったが、
ほとんど全員、「ふーん」と言った感じ。

「ま、いい考えだとは思うけど、実際には無理だよ」

との意見が大半。


いかにも、ありがちな返答でした。(つまんねぇ~)




もちろん、私も全て現実化するのは難しいのは分かっていたが、
このような“考え方”が重要なのであると思った。
実際、一人で仕事を始めて見て、その考えが正しい事も分かったし、
「会社構成員(会社員)」の多くが、いかに守られた存在で、
また逆に、いかにぬるま湯にどっぷり浸かった存在かも分かった。
もちろん昨今ではリストラもあるが、
まだ多くの場合は、尻拭いは誰かがやってくれるのが実態だ。




企業の中で、今さら「会社設立教育プログラム」も無いだろうが、
ニュースで奮闘していた高校生達を見て、企業も考えてみても良いのでは?
と考えてしまった。
よく、経営者はお題目のように、
「自分が社長になったつもりで…」と社員にハッパをかけるが、
それは所詮、無理なのだ。
何故かと言うと、「社長になったことがないから」である。
なった事が無い者に、その深い悩み・苦しみが分かるはずも無いのだ。




この「一人会社制」の意識で社業に取り組めたら、最強の組織が出来上がるだろう。



ま、でもほとんどの企業が
「目先の利益」に走ってるから、そういう発想も無理かな…



でも、一部の一流企業などは、やってるかもね。