教鞭をとっている専門学校の新年度が始まって早や1ヶ月あまり。
私は毎年、2年生を受け持っている。
現役トレーナーである人間から、
来年卒業→社会に出て行く若者に、実践に則したアドバイスを、という事が学校側の意図のようだ。
それで4月が始めての顔合わせになるのだが、
徐々に慣れ始めてきたこの時期、
決まってこのような現象が始まる。
「先生、肩が痛いんですけど、何とかなりませんか?」
「腰が痛いんですけど、治してもらえませんか…」
質問を受けることは私の仕事であるし、それは構わないのだが、
スポーツトレーナーの養成学校に通う学生でありながら、
自分では全く調べず、ただ単に
「あいつトレーナーだし、整体師もやっているらしいし、頼めばタダで治してもらえるかも…」
といった思惑がアリアリなのである。
その上、礼儀知らず。
毎年のこととは言いながら、さすがに内心、閉口ぎみ。
例えば、医学部の学生が、
授業を担当している教授に、「身体、ちょっと診て」と言うだろうか?
「大学病院に来て、受診しなさい」と言われるはずだ。
授業の後のちょっとした時間で「診て」「治して」では虫が良すぎるし、
どうにも意識レベルが余りにも低すぎる。
もちろん、時間の許す限りアドバイスや、少しは身体を診てやったりした後で、
その辺りの心構えの話を、多少小言気味に諭してやると、
「何だよ、ケチだなぁ…」「うるさいなぁ。ちょっと教えてくれりゃ良いんだよ」
という雰囲気が明らかに顔に出ている。
自分の身体に不具合があったら、
せっかく専門の学校に通っているんだから、
まずは自分で調べて、自分なりの考えを持って、
「この状態は自分はこう思うんだけど、先生はどう思いますか?」
と言うのが、あるべき姿だと思うのだが…
こういう学生は、ほとんどいない。
怪我は困る事だが、逆に自分の身体を題材に
格好の勉強のチャンスなのだ。
良い意味の「人体実験」である。
で無ければ、自分の金銭で病院なり治療院なりに行った方が、
自分も真剣に治そうと思うし、結果的に勉強になるはずだ。
そういう姿勢を持てない人間は、
まず「プロ」になるのは無理と思った方が良い。
「プロ」をタダで使おう、という根性自体に、
大きな問題があると思う。
こういう考え、厳しいのかなぁ…