北海道日刊スポーツの紙面から


伊藤会長が全日本ジャンプ陣に大なた/選手層の拡大も

 低迷する全日本ジャンプ陣に大なたが振るわれる。来年2月のトリノ五輪に向け、コーチ陣の入れ替えなど大胆改革を断行する。25日に札幌・大倉山ジャンプ競技場で行われたジャンプの今季最終戦、伊藤杯シーズンファイナル大倉山ナイターで全日本スキー連盟(SAJ)の伊藤義郎会長が明らかにした。

 2月の世界選手権は入賞さえなかった。伊藤会長は「選手自身の問題もあるが、50%はコーチの責任。コーチは何をしていたのか」と怒りをあらわにし、①選手層の拡大②適切なコーチの選択の2つの改革案を提示した。

 ①は07年世界選手権札幌大会、10年バンクーバー五輪をにらみ、来季からジュニア年代の若手をコンチネンタル杯に起用。成績によってはW杯、五輪の代表入りも考慮する。②はオーストリア、フィンランドなどジャンプ強国の指導者の招聘(しょうへい)を示唆。伊藤会長は「もちろん今のコーチ陣にハッパを掛けるが、入れ替え、補充もあり得る。外国人コーチも視野に入れている」。五輪本番まであと1年を切った。復活へ思い切った強化先に打って出る。




以前のエントリーでも書いたが、
伊藤会長も当然ご承知と思うが、
コーチ陣の入れ替えも時として必要だろうが、
それだけでは問題は解決しない、と思う。



私もジャンプ界に関わってはいるが、
どっぷり漬かっているわけでは無いので、この世界について全ての知識があるわけでも無い。
多少ピントがずれている面もあるかも知れないが、
素人よりほんの少しだけ知っている人間、という程度の意見として書いてみる。







まず、現実的には五輪まで1年を切ったこの時点でコーチを代えても、
その効果を生じるのには時間が足りないのでは?という点。
チームプレーのような“戦術”ありきの競技ではないので、
短期的に効果を出すのは難しいと思われる。
また新たなジャンプ技術を導入したとして、
それをフォーム改造を含めて身に付けるには、余りにも時間が無さ過ぎる。
最低でも2年は無いと、実験・検証・修正のプロセスが踏めないのではないか。


(ただし技術的な事でなく、選手のモチベーションを上手く引き出す、
 という事に重きを置くのであれば、それも“有り”かも知れないが。
 いずれにしろ今季の結果の分析が重要。
 単に「コーチが悪い」では解決しない、と思うが。)

そう言う意味では、
①トリノ五輪に向けた“短期的”な体制作り。
②次の五輪に向けた“中・長期的”な体制作り。
の二面で考えなければならないだろう。


もし、①を重視して今以上の結果を出す!という事であれば、
現実的には「用具」の研究に時間を割くべきと思う。
もちろん、“連盟”主導で。
(ウェア、板、その他)
ただし今から新たなものを作る時間は無いだろうから、
各国の情報を緻密に収集して、現時点で最高の素材・メカの用具を作る事だと思う。
各選手にその負担を掛けていては、時間的にロスが大きい。


それでも“コーチも刷新して、次の五輪で是非とも結果を!”と言うのならば、
この1年は企業チームの壁を取り払い、
ナショナルチームはナショナルチームで、独自の合宿・練習体制を組むべきだと思う。
コーチ陣を代えるか否か、は別にして。
(恐らく無理だと思うが…。)


と言うのも、これは②の「長期的体制作り」に関わってくるが、
現在の日本の体制は、基本的には各企業チームでの強化が基本になっている。
それが良い・悪い、という事でなく、
普段の自チームでの練習・トレーニングの基本理念と、
ナショナルチームに選ばれて集まった時の強化・技術の理念がリンクしているか否か?
が重要である。
これはあくまでも想像だが、
ナショナルチームで集合した時、
各企業チームが良かれと考え指導している技術をベースに研鑚を積んでいる以上、
にわかに集まった集合体に対して、
ナショナルチームのコーチが指導、というのも論理的に考えて限界があろう。
(と推察する。)


もちろん、今すぐに「日本独特の企業スポーツシステムを壊して…」
などと物騒な事を言っても、すぐに現実化する訳でもないし、
この日本の仕組みの良い点も沢山ある。
それに現在は各企業チームが工夫を凝らして指導法やトレーニング法を考え、
鍛錬して、チーム間で争って結果を出して、
それが企業の広告宣伝効果に繋がる訳だから、
無くしたら日本のスポーツ界が成り立たなくなる。


そのように考えると、
実際には各チームの実力を全体的に底上げして行くしかない、
という事になる。
そこで最もすんなり頭に浮かぶのが、各チームの「海外コーチ研修」である。
これも理想を言ったらキリが無い(本当は1~2年行くのが良いのだろうが)ので、
出来る範囲内での期間を毎年、各チームから北欧に派遣するのである。


北欧のチームがやっている事が最高のモノかどうかは別にして、
現実、結果を出しているところに教えを請うのが、ロジカルに考えて当然だ。
ナショナルチームの代表者が総代で行って、それを帰国して伝えても良いが、
伝言ゲームになってしまうのは明らか。
現在も代表チームのコーチ陣は海外を転戦している訳だから同様の事が出来るはずだが、
(私が知らないだけで、オフィシャルにやっているのかも???)
やはり“自分の目”でコーチングとジャンプ理論を吸収するに勝るものは無いだろう。
しかし、プレゼン能力と語学に長けた人間を現地に駐在させて、
理論や情報を伝達する、という仕組みもアリ、かも知れない。
任された人の能力にも拠るが…。
むしろ、“コーチとして招聘”と考えるのではなく、
上記の役割を担える現地人の駐在スタッフの登用を考えるのも有効かも。

(ただし“敵国”である日本を北欧チームが受け入れるかは分からないが。)



これには当然、予算的な問題も絡んでくるだろう。
(常に絡むかも…)
自分なりには予算獲得のアイデアが無くもないが、
突拍子も無いので、ここでは自分の意見は控えておくことにする。
迷惑かかるといけないし。
要するに“ジャンプ界、スキー連盟”で、売れるモノがあるなら売ろうじゃないの”
という考えだ。



無論、技術的な事は別とすれば、
わざわざ北欧に出向かなくても国内で出来る事も多いだろう。
「コーチング」と言っても、その範囲は膨大。
技術面以外にも、「選手の持てる力をどのように発揮させるか?」という事もあるし、
逆にコーチ側が「自分の伝えたい事をどのように100%伝えるか?」という事もある。
要は行き着くところ、互いの“マネジメント”の問題なのだ。
「コーチング」の教育などは、協会や連盟主導で幾らでも出来る。
そういう事をやらずして、「全てコーチの責任」と言っても結局責任の所在が不明確だ。
まあ、現在のサッカー協会のようなシステマチックなレベルまでは直ぐには無理だが、
目指す“理想像”があって、初めて“具体化”が存在するのである。









と、まあ勝手な事を…とお思いの向きもあろうが、
最初にもお断りした通り、私も全ての現状を把握している訳でも無いので、
「そんなこと、既にやってる」という事もあるかも知れない。
ピントのずれた意見もあるだろう。
しかし、一般企業の論理と同様で、
「君ィ~そんなの無理に決まってるじゃないか」
「前例が無いよ」
と早急に言ってしまうのは、既成概念に苛まれているからである。
何事も、最初は「異端・邪道」から始まるものだと思う。



ちなみに、当blogの<“コーチング・指導論”関連エントリー>
「コーチング」とトレーナー業など
指導者の心得と「指導言語」


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