最近、私の耳に入ってきた事。
とあるスポーツクラブ(フィットネス施設)が間もなく倒産する、というのだ。
(それ程の規模ではありません。ある地方都市。)
それだけなら昨今、よくある話。
実は現場にいる社員スタッフは、その事実を知らされていないのだ。
このエントリーを書いている時点では、伝わっていて欲しいが…。
私が聞いた時点で、既に閉館予定前2ヶ月を切っていたはずだ。


と、ここまで書いておきながら、
実を言うと、この手の話も、この業界ではよくある事なのだ。





私は以前に長きに渡りフィットネスクラブ運営に関わった時期があり、
社員としての退職後は一時期、某同業社で社外役員も務めたり、
今でもアドバイザー的な立場で某クラブに外部から関わりを持っている。
その中で、同じような経験は数回目にしているし、
直接関わった経験もある。




その直接関わった時と言うのは、私はその閉鎖するクラブの運営を引き継ぐ側の立場で、
その数日前までスタッフは知らなかった、という状態だ。
「混乱をむやみに起こしたくない」という、組織の論理が優先されるのが
大方の現状なのである。
ま、他の業種でも似たようなものかも知れないが。



事前に施設見学を装って、施設やスタッフの状態を把握に出向く。
(こういう時、スタッフは何と無く察するものだ。)
そして事情説明会を行い、引き継ぐ側の社員面接を改めて行い、
基本的には再採用する方向なのだが、条件(報酬・勤務地)は必ずしも踏襲されるとは限らない。
スタッフの立場からすれば、そもそも数日前に自分の会社が無くなる事を聞かされて、
新しい雇用条件を聞かされて、この先どうなるかも分からず、
目もうつろ、心ここにあらず、という様子がありありだ。
そういう人間を前にして、ある程度は事務的に事は進めなければならないが、
やはり心情を汲み取るように、色々話をしたのを覚えている。
しかし所詮、限界はあって、
こちら側は彼らからしてみれば“黒船”みたいなもので、
「乗っ取り」的に映るのも無理からぬ事である。


この話を聞いて、当時のことを思い出してしまった。
閉鎖の事実を知った従業員の心情を思うと…。
まして、そこのスタッフも少しは面識があるので…。
家族のいるスタッフも多いだろうし。
相当古い施設なので、運営引継ぎは有り得ないだろうと思われる。


とにかく、一日も早くスタッフに伝えて、
今後の身の振り方を考える時間を、少しでも長くとれるようにして欲しいものだ。


経営者の皆さま。
ギリギリまで頑張るのも結構ですが、
「勇気ある撤退」もあるし、引き際こそ早めの“決断”をしないと、
困るのは“兵隊”ですので。
宜しくお願いします。