私の主たる仕事は、言うまでも無いが「整体施術」である。
以前からの読者の方はご存知の通り、
現在は「訪問・出張施術」が中心になっている。

 


自前の施術所(治療室)もあるが、
訪問の依頼を受けると、その方がご紹介くださる患者さんは「訪問希望」の方になるので、
結局は訪問の方が中心になっている。
いや、別にそれが“嫌だ”って言ってるわけではないですが。

 


ただ、一点、どうしても難しいことがある。
それは「気」の問題である。



訪問の場合、
多くは自宅、仕事場、ということになる。
そこはもちろん、患者さんの生活の場であり、仕事の戦場である。
つまり主役はあくまで「患者さん」側にあり、普段の活動の場であるため、
その「気」で充満しているのだ。

 



 

ここで「気」の概念について解説しておこう。
「気」と言うと、どうしても「怪しい」「うさんくさい」イメージがあるが、
私なりに解釈すると、「気」とは「目に見えないエネルギーの総称」と言えるだろう。
例えば、腕で物を動かすのは、「筋力」というエネルギーが作用したため、物が動くのだが、
その筋を動かしているのは、脳から出た命令が神経を伝わって、
最終的に「電気信号」となって、刺激され筋が収縮する。
その「電気」は目に見えないエネルギーである。


このように、「気」というとオカルトチックだが、
“目に見えないエネルギー”と考えると、理解しやすい。
電気や磁気が、代表として分かりやすいものに挙げられるだろう。
東洋医学でよく言われる「気」も、
本質的には「電気」「磁気」と考えて差し支えない。
それらは人体にも微量ながら流れていて、
それを鍼灸師の方は、鍼などを使ってその流れの乱れを整えるのである。
あるいは私のような手技療術師は手を使って、という事になる。


この「気」というのは、皆さんの 日常生活にも多数感じられているはずである。
言葉にしても、沢山ある。
「やる気」「負けん気」「根気」「殺気」「雰囲気」「陰気」「陽気」「天気」「士気」などなど…


例えば、他人同士が喧嘩をして険悪な状況の部屋に偶然入ってしまった時、
その時点では喧嘩はしていなくても、
何とな~く、不穏な空気を察知することがあるだろう。
「こりゃ~まずいところに来ちゃったかな」というような。
これは室内に「雰囲気」として、お互いの「殺気」のようなものが蔓延していたため、
それが外部から来た人間に察知されたからである。
つまり「負」のエネルギーである。
このような例は数多くある。
以前に「水は答えを知っている」という本の事を書いたが、
そこで書いた、水や花の反応も、いわゆる負のエネルギーの「気」に反応したためと考えられる。
逆に「あの人がいると、何故かその場が和む」という人がいると思うが、
その人は、無意識にそのような「正」のエネルギーを発しているのだ。
「人が好き」「楽しませたい」と言うような…
“場”の「雰囲気」を一変させるのは、やはり人の「気」なのである。


気が合う」というのも、互いの「電気・磁気」の流れの波長が合った状態を、
互いが感じていられる相手同士、という事なのだろう。


これらのような類の経験は、
誰しも思い当たるフシがあるだろう。
職場でも、友人関係でも、家庭でも。
「アイツがいると、雰囲気が悪くなる」とか、
「空“気”の読めないヤツ」とか…。

あれ?ネガティブな例ばかり…

 

 


 


さて、最初の訪問施術の話に戻るが、
場所が患者さんの仕事場である場合、
そこは仕事の「気」が流れている。蔓延している。
つまり、ある意味,、患者さんにとっては
仕事と言う「戦いの場」であるのだ。


逆に、どんなに狭く、汚い場所でも(限度はあるが)、
「施術所」として設定している場所は、
その施術者の「治そうとする“気”」が流れており、おのずと「雰囲“気”」が異なるのである。
言わば「場」のエネルギー、である。
だから、厳密に言うと、整体施術は施術所で受けるに越したことは無いのである。

 

 

しかし変わったケースもあって、
私が定期的に訪問している某事務所で面白いところがある。
そこにはほとんで仕事で使っていない納戸のような部屋があり、
そこがいつも、私が訪問すると「施術スペース」になっている。
こういうケースだと、上記の論理とは異なり、
ほぼ、専用の施術所のような状態になる。
つまりその部屋に入ると、患者さんも一時仕事から意識が離れ、
「その“気”」になれると言う訳である。
こういうケースは稀ではあるが。

 

 

ただし、訪問で伺った場合には、
その施術者が多くの「治そうとする“気”」を多く発し、
施術所と同様の「気」の状態にする必要があるし、
そうすれば、施術効果が著しく落ちる事は無い。
「場」のエネルギーを変えるのである。
(打ち合わせや飲み会などでも、「じゃ“場”を代えて」という事があるだろう)
「音楽」や「匂い」は、そのアシストとして用いると効果的なのだ。
しかし訪問先ではそれらの使用も、先方の生活圏であり限界があるため、
目立たぬように使うことがマナーであり、プロの心得である。


ただ、逆に施術者は多くのエネルギーを必要とするので、
通常よりは疲労するのである、


これが、いわゆる「気疲れ」と呼ばれるものである。

 

 

 

あ、私が訪問で伺っている患者の皆さん。
もし読まれていらしたら、
これは別に言い訳や自らの苦労を語っている訳ではなく、
情報としての、一般論ですからね。
あしからず。