前回までに、私見ではあるが
一般的な「トレーナー(主にはアスレティックトレーナー)」の仕事や、
その他、仕事内容が混同されがちな「トレーナーに類する仕事」を解説してきた。
そもそもこの「スポーツトレーナーになるには」のカテゴリーは、
読者からの「トレーナーになるにはどうしたら良いか?」のメールがきっかけになったものであるので、
いよいよ本題に入ってくる、という事になる。
まず、何度か書いている事だが、
「トレーナー」と言えば、この世界で一般的に捉えられるのは「アスレティックトレーナー」と言う事になる。
前回も書いたように
、「スポーツトレーナー」というと、
様々な「トレーナーに類する仕事」が含まれてくるので、
トレーナーを目指す場合、「どの“トレーナー”を目指すのか?」によって
行動の仕方が変わってくることになる。
ちなみに、私の主観で言わせてもらうと、
私が考えるトレーナー像は、
「医師でなければ出来ない事(投薬・診断・手術)以外の人体に関わる判断や処置を
行う、全ての仕事」に携わることを「トレーナー」と考えている。
そういう意味では、かなり幅広いことになるし、
逆にそれを目指す方法も、私の感覚では多種多様であると言える。
そのように捉えた場合、私は大きく二つに「トレーナー」は分かれると考えている。
「王道型トレーナー」と「雑草型トレーナー」である。
「雑草型―」とはネーミングがあまりよろしくないが、
自分もこの分類に入るので、実態が分かりやすいという意味で、ご容赦願いたい。
「王道型」とは、前述の通り、
トレーナーの一般形、「アスレティックトレーナー」を筆頭に、まっとうな過程を経て教育を受け、資格を取得し、トレーナーを目指す方法である。
このパターンを目指すのであれば、その中でも最も王道と言えるのは、
①体育系大学に入学し、正規のカリキュラムで教育や経験を積んで、日本体育協会のAT(アスレティックトレーナー)資格
の取得を目指す。
②スポーツ系専門学校に入学し、同様に勉強をして、日体協AT
取得を目指す。
③アメリカの正規の体育系大学に入学し、アスレティックトレーナーの最高峰資格と言われる、
NATAのATC資格
取得を目指す。
(①および②の過程を経て、③に行く人も多い)
まあこれが最も“王道”であろう。
ただし、NATAのATCも難関だが(まず「英語力」という高い壁があるが)
日本体育協会のATもかなり高い壁で、合格率はかなり低い。
体育系の大学や専門学校に行かないで取得する道も無くはないが、
現場での指導経験や、各種競技団体の推薦など、
まず試験を受ける為の関門が高いので、学校に行かないとかなり難しい。
(不可能、では無いが)
正規カリキュラムの学校であれば、学校にいる時点で受験資格は得ることが出来るので、
この道を行くなら、お金と時間の問題さえクリアできれば、
学校に進んだ方が良い。
(私も、時間の問題さえクリアできれば、今からでも学校に入りたいぐらい。
この話は、またいずれ。)
ただご理解いただきたいのは、
「この資格さえあれば、トレーナー職が待っている」という訳では無い、という点だ。
これは昨今、「MBA(経営学修士)さえ取れば職が…」とは行かないのと同様だ。
逆に言うと、「運転免許が無ければタクシーの運転手になれない」のとは違うので、
今の現状だけで言えば、「運転免許が無くても運転手になれる」道も有り得るが、
(情熱のある先生がいる大学で勉強して、認められて先生のツテで…など)
徐々に日本でもそうなりつつあるように、
近い将来は「何らかのAT資格を持ってる人に限定」という条件の方が主流になることも考えられ、
そういう意味では、純粋に「アスレティックトレーナー」を目指すのなら、
やはり資格取得を最優先に考えた方が良いと思う。
(数年前ならこうは言わなかったかも知れないが。)
…以上が王道中の王道だが、
アスレティックトレーナーでは無いがその他、前回に述べた他のトレーナーへの道
もある。
「フィットネストレーナー」などは、さらにATほどの明確な資格は無い。
「健康運動指導士」
や「ACSMのHFI」
、「NSCAのCPT、CSCS」
などが、
それに準ずることになるだろう。
だが、これらはAT以上に「運転免許」にはかなり遠い存在なので、
必須とも言えないが、最近はフィットネスクラブやパーソナルトレーナー採用条件に、
これらの取得者を優遇する記載もあったりするので、持っているに越したことは無い。
だが、基本的に「フィットネストレーナー」は、どこかの「フィットネスクラブ」に入社する事が出来れば、ほぼ自動的にその立場になれるし、
フィットネスクラブ社員採用は、必ずしも「体育系学校卒」でなければ、という条件は少なく、
最近は特に、近い将来の店舗マネジメントを睨んでの採用が多いので、
むしろ異業種経験が買われる事も多いのが実状。
とは言っても、「フィットネストレーナー」も「トレーナー」の一部であるには違いないので、
「とにかくトレーナーを」と言うのであれば、このような道を選択し、
現場経験を積んで、その中で資格取得をして、ステップアップしていくのも一つの方法である。
ただし、最近はどの企業も「正社員採用」は狭き門になっていることは否めないが。
長くなったので、今回はこれで。
「雑草型」(私もこれです)については、次回に。