フジTV「あるある大辞典」で、
“身体の諸症状は歪みが原因”という主旨の内容をやっていた。
仕事をしながらだったので、ところどころしか見ていないが、
特に「肩こり」「冷え性」「セルライト」は歪みが原因ということで、
その要因は「股関節」の歪みにある、という結論であった。


全て見たわけでは無いので、うかつな事は言えないが、
確かに、その論理展開も有り得るし、
そこに焦点を絞っても、かなり改善が見込めるだろう。
だが、説明がつかない事も、多数ある。


特に、股関節を歪ませる原因が、
「近年、欧米型のイスの生活になり、元々越し周りの骨格が小さい日本人は、
 以前の畳の生活に比べると、生活の中で股関節周囲筋が鍛えられなくなった為。」
という事だったが、いささか無理がある論理であろう。
無論、そういう要素も多少はあるだろうが…。


人の身体はパーツごとに捉えない事が原則」という以前のエントリーで書いたが、
骨格を骨格、股関節を股関節のみで考えると、つじつまが合わない事も多い。
以前のエントリーでも書いたように、「天地人三才」の考え方だ。


「人体は小宇宙」。
つまり、天体の動きで地球環境が決まり、天候が影響を受けて大地の環境も変わり、
それによって人体も影響を受けて体内環境も変化するが如く、
体表・内臓器・骨格や筋肉も、同様の関係性で関連し合う、という考え方だ。


細かく述べると長くなるのでポイントだけ述べると、
「骨格」の状態には「内臓」の状態が深く関わっているという点である。


一例を挙げると、
お腹の調子(胃や腸)が悪いと、人間は無意識に身体を折り曲げるだろう。
お腹が痛くて、胸や腹を伸ばす人はいない。
喘息のように、息苦しくても同様だ。
極端な例を挙げたが、人は無意識に調子の悪い部分は、
「たるませて」余裕を作ろうと反応する。
痛みが起きないまでも、調子や機能低下を敏感に察知し、
あくまで無意識に、身体は様々な反応をする。
それらが複雑怪奇に絡み合い、前後の歪みや捻れ症状を作り出す。
「脚ばかり組んでいるから」「猫背だから」といった、習慣などだけで説明はつかない。
同様に「どこそこの筋肉が弱いから」ということが原因だとしたら、
適度な運動をしている人には、歪みが発生しない事になる。


無論、全て内臓のみに結び付ける事にも無理はあるが、
少なくとも「人の身体はパーツごとに捉えない」事が重要である。


余談だが、逆を言うと、
骨格や筋の状態を変えると、内臓の状態も変化する。
例えば、精神的にショックを受けたりで元気の無い人も、
無意識に身体を折り曲げる(しょんぼり状態)が、
そうなると、内臓の状態まで悪くなる。
実際に病気にもなったりする。
これは「精神的なこと」という事で、脳内環境が変化し
神経系の働きやホルモン分泌が影響を受けた事もあるが、
身体の形状が変化する事で、
「捻れたホースには水が流れ難い」のと同様、体内の循環に影響が生じたことも大きい。
もちろん、身体を折り曲げたことだけが原因ではないが、
このように形状と内部環境が関連する事は事実である。


この状況が長く続くと、本当に筋や骨格が変化してしまう。
これを、筋や骨格の観点から調整することで、
体内環境(内臓の状態)にも影響を及ぼせ、改善する事も非常に多いのである。
少なくとも、私は臨床上で多くの例を見ている。


何事もそうだが、
「木を見て森を見ず」ではなく、広い視野で捉える事が大切である。