これは仕方がない事かも知れないが…。


選手からはこういう質問は出ないが、
トレーニングコーチやトレーナーを目指す人、
あるいは既に指導者になっている人からも、よく寄せられる質問。

「~~の競技選手のトレーニングなのですが、どこを鍛えれば良いんですか?」

…この質問は非常~に多い。
そしてまた、非常に答えに困る質問なのだ。


そもそも、あるスポーツ専用の筋肉がある訳ではなく、
「野球用の筋」「サッカー用の筋」と類別されているわけではない。
だから、「どこを」と言われても、「全部」という話になってしまう事もしばしば。
それほど競技によって大幅に鍛錬箇所が変わる事は少ない。


もちろんそういう答えばかりしている訳にも行かないので、
何となく本人が納得しそうな答え(例:「サッカー」なら「尻と太腿」とか)を
少しだけ詳しく、専門家っぽい色付けをして、答えてしまう事も多い。
決してウソではないし、短い時間で答えられるほど、簡単な質問ではないのだ。


こういう質問をする人の中で、
多くは「どのようなトレーニングを…」という意味で言っている人もいるだろう。
しかしこれとて、簡単にパッパッと答えられるものでもない。


その選手がどの程度の基礎体力があるかも分からないし、
また、どのようなタイプのプレー、パフォーマンスを欲しているかも分からない。
「いや、そんな細かい事は抜きにして、一般論として…」ともよく言われるが、
それとて、私と質問者が同じ「言語」で会話が出来なければ理解してもらえない。
質問をした人の「理解力」や「学習の度合い」も分からない。
この2つがそれほど高くない、と、こちらから感じられると、
いわゆる「一般論」的な話にしかならないのだ。
だから、私の場合、
「貴方はどう思う?」「その為にはどうしたら良い?」
その答えを導き出し、「良いんじゃない、それで!」と言う事が多い。
無論、あちらは不服そうな顔をしているが。


こういう質問をする気持ちも分からなくは無いが、
答えなんて明快なものは無いと思うし、
正解も必ずしも一つでは無いからねぇ。


だから、学校の講義のようにじっくり時間が取れない限りは、
この類いの質問にサッと答えるのは、
余りにも漠然とし過ぎて、非常に難しいのである。


せめて、
「どのような能力が最も必要と思われますか?」
「その能力を高める為に、貴方が最も重視するトレーニング方法の例はありますか?」
のような、絞られた質問ならば、答えようもあるのだが。


何だか意地悪を言っているようだが、
「質問」の仕方というのも、やはり工夫が必要だ。
的を得た質問が出来る人はそれなりに勉強している、と言えるのだと思う。


誤解の無いように言っておきますが、
私なりに誠意を持って、
最大限努力&譲歩してお答えしてますからね。実際は。