2シーズン制の導入によりJリーグを取り巻く経営の厳しさが改めて取り上げられた形となったが、
本書はそんなJのチームがどのように強化に取り組んでいるのか、
「強化部」という普段はあまり日の目をみない部署のトップである、
強化部長に丹念に取材することで明らかにしていく。

名古屋など大きいチームのマネジメントも素晴らしいが、
水戸や山梨など地方の小さいチームのほうが努力や工夫など興味深く感じられた。
表面的な批判だけでなくJのチームの実情を知るためにも是非読んで欲しい一冊だ。

そういえば先日ACLで柏を破った広州恒大のコンカは年俸約11億円らしい。
2012年の山梨の人件費の予算は3億8000万円。
それほど財力に差があるのが今のJの現実なのだ。

Jクラブ強化論/ぱる出版

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本書以外にもサッカーチームの裏方や経営に関わる本はたくさん…かどうかはわからないが出版されている。

Jのチームの本として個人的に興味深かったのが、
「僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ」である。
川崎フロンターレは今でこそ等々力陸上競技場を満員にできるほどであるが、
初めから順風満帆だったわけではない。
たくさんの工夫と地域に根差した取り組みの成果の一端を本書で知ることができる。

一つエピソードを上げるとすれば、それは買い物の話だ。
買い物をするとき必ず領収書を川崎フロンターレ名義でもらうらしい。
そうやって川崎フロンターレを知ってもらって興味を持ってもらう。
そこまで徹底してやることで地域のチームとして根付きつつあるのだと感じた。

僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ (単行本)/小学館

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サッカーを経営するということの奥深さを知ることができる一冊として、
「ゴールは偶然の産物ではない~FCバルセロナ流世界最強マネジメント~」
も経営のプロフェッショナルによるサッカー経営を記した素晴らしい一冊だ。
どの業界のどの会社も「この業界(会社)は他とは違うから」と
いわゆる一般的なマネジメント手法を使うことに否定できであったりためらったりするが、
サッカーというまさに特殊な業界であってもマネジメント手法が通用することが本書に著されている。
チームが目指すべき目標、ポジションなどを明確にすることなど、
全チームが優勝を目指すとばかり思っていた私にとって目から鱗が落ちるような経験をした一冊だ。

ゴールは偶然の産物ではない~FCバルセロナ流世界最強マネジメント~/アチーブメントシュッパン

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